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デジタルでBtoBセールスはできるのか!?

Watsonが解析したボブ・ディランさんのテーマとは

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今週、ボブ・ディランさんがノーベル文学賞を受賞したことが、大きなニュースとして飛び込んできました。
毎年この時期になると、今年こそ村上春樹さんが受賞するかも、ということで「ハルキスト」が集まって盛り上がっている、という映像をテレビで目にします。
イギリスのブックメーカーでも人気ナンバーワンだったようですので、私も今年はくるか、とちょっと期待していたところで、まさかのボブ・ディランさん。驚きました。

私自身は、特にボブ・ディランさんのファンというわけではないのですが、このニュースを読んで真っ先に思い浮かんだのがディランさんとIBM Watsonとの「対話」です。

これはちょうど一年ほど前に、IBMのコグニティブ・システムのWatsonがディランさんと対話をするという30秒ほどの動画が公開されたのです。同じシリーズとして俳優の渡辺謙さん、テニスのセリーナ・ウィリアムズさん、ゴルフのトム・ワトソンさんもWatsonと会話していて、TVCMや通勤電車の車内モニターでも流れていたのでご記憶の方もいらっしゃるでしょう。当時は、ミュージック界の大御所との対話ということで、これはすごいことなんだろうと思ったものです。

今になって思うのは、単に大御所だからボブ・ディランさんが選ばれたのではなく、歌詞に込められたメッセージ性が高く評価されているから、ということだったのでしょう。

ボブ・ディランさんとWatsonとの会話の日本語訳は下記のような感じです。

Watson:「ボブ・ディランさん。言葉を学ぶために、あなたの歌詞をすべて読みました」
ディラン:「僕の曲、ぜんぶ?」
Watson:「1秒に8億ページ読むことができます」
ディラン:「すごいな」
Watson:「あなたのテーマは"時の流れ"と"うつろう愛"ですね?」
ディラン:「そうかもね」
Watson:「愛とは何でしょう?」
ディラン:「一緒に歌をつくればわかるよ」
Watson:「歌なら歌えます」
ディラン:「本当?」
Watson:「Do bop. Do be do. Do be bop.」

"時の流れ"と"うつろう愛"がディランさんのテーマであるとWatsonは分析したんですね。ディランさんの「そうかもね」は、一応肯定かなと思いますが、どうでしょう。

ディランさんの歌詞の解析のために、Watsonはディランさんの曲を320曲読み込んだそうです。性格分析、トーン傾向分析、キーワード抽出などを駆使して、このような判断に至ったわけです。

ディランさんのファンからすると、そうじゃない、彼のテーマは別のところにある、ということを思うかもしれませんが、そこはあくまでコグニティブ(認知型)システムが考えた一分析と捉えていただければと思います。

この動画を取り上げた記事は、IT系のメディアだけではなく、音楽やエンタメ系にも多数掲載されたようです。ディランさんがこうした形でメディアに出ることは珍しいらしく、興奮ものだとする論調のものも多かったです。

12月の受賞式でのスピーチ、どんなことが語られるのか、今から楽しみですね。

IBM 中山貴之のWeb Page (平日は毎日更新中)

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