【ジョーク】「今度はイタリア抜きで」
今からもう、20年ぐらい前になるだろうか、私がIBMでアジア太平洋地区のプロダクトマネージャを務めていたころ、ヨーロッパのプロダクトマネージャとアジア太平洋のプロダクトマネージャ合同の会議を開催したことがある。
アジアからは私ひとり、あとは、アメリカ人がアジア太平洋を代表して参加した。ヨーロッパからは、なぜか主要各国からも参加があり、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツから、なんでこんなにいるのだろう、と思うほど参加者があった。特に、フランスとイタリアからが多かった。
場所は、ノース・キャロライナ州、ケアリーという場所で、州都ローリー(ラーレィが正しいとおもうのだが)から近い。ケアリーのIBMのオフィスで、ヨーロッパとアジアのプロダクトマネージャや各開発部門のキーパーソンが集まってミーティングをした。朝早くから、午後6時ぐらいまでびっしりと会議をした後は、当然、ディナーだ。ワインを水のように飲む連中ばかりである。
この辺は南部で、カウンティ(郡)によっては、ドライカウンティ(禁酒をしている)もあり、この辺を知っているアメリカ人が酒が飲めるレストランまでバスをチャーターして、みんなで出かけた。なんか、でかいのだが、納屋のような外観で、ちょっとぼろい感じの一軒家のドアを開けると、そこは革張りのバーガンディー色のドア、大きな図書館のようなウェイティングルーム、すっげー豪華な内装の、それはそれは、高級なレストランであった。
席は適当に座ったのだが、フランス人たちはフランス人同士で、イタリア人はイタリア人同士で固まってしまう。私は、友だちのドイツ人と、性格の暗いスペイン人(笑えた)と、アメリカ人たちといっしょだ。イギリス人は他のアメリカ人といっしょ。フランス人は勝手にフランス語で話しまくり、イタリア人はイタリア語で騒いでいる。
こういう席では、ジョークのひとつも言わなければならないので、私もそのころの得意なジョークを一発かました。
「ホンダは新しい車を開発するのに、30人の人を要している。GMは新しい車を開発するのに、130人の人が必要だ。」
「その100人は何をしている人たちなんだ?」
「プランナー!」
と、いうやつだ。もう、大うけ!!IBMの開発部門のキーパーソンたちは、「IBMでは、そんなことはないよ」と抵抗するが、これが余計受けた!!!
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膨大な量のワインは回り、空のボトルが林立し、南部のステーキ (なんでアメリカって、どこに行ってもステーキなのかね) も美味く、酔いがまわって、イタリア人はもっと陽気になる。前に座っていたドイツ人のシュルツさんが内緒話をするように、顔を近づけてきた。
「今度は、イタリア人抜きでやろうね。」
これはダブルミーニングで、ディナーはイタリア人抜きで、というのが表向き、でも、フランス人たちだって騒ぎまくっているので、二つ目の意味は、つまりは、そう、そういう事。
きっとこれ、ドイツでは、日本人に会った時の常用ジョークなんでしょうかね。タイミングがピッタリで、笑った笑った!
この後、デザートになり、シュルツさんは、「デビル・チョコレートケーキ」という、チョコレートたっぷりのケーキの上に、これでもかと、とろけたチョコレートがドバッとふんだんにかかっているやつを注文し、さらに、
「ワイルドターキーのストレート、ダブルを二杯ね」
と注文し、出てきた山のようなケーキのうえから、ワイルドターキー2杯をたっぷりとかけ、おもむろに食べ始めたのでした。私はドイツ人は信用しないぞ。