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ITの技術や方向性考え方について別の選択肢を追求します

マネージャの仕事 ケーススタディ サン・マイクロシステムズの場合

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昨日は、今後はマネージャの仕事はチームをシステマチックに運営していく事で、専門家やプロ、現役という人たちとは役割が異なる事を書きました。具体例を示したいのですが、サン・マイクロシステムズ以外には、日本アイ・ビー・エムしか内情は知らないし、すでにIBMからサンに移って7年なので実情も異なってきているだろうし、今回はサンの事例をご紹介したいと思います。

サンで技術面のリーダーをしている人が何人部下を持っているかを(すみません、社内秘にあたるので大よその数です)を見てみれば、サンがどのような考え方をマネージメントということに対してどう考えているか分かるのではないでしょうか。

さて、サンといえば Java。Javaの父といえば、ジェームズ・ゴスリング(James Gosling)です。ジェームズは部下がひとりいますが、その人はジェームズの秘書(サンではアドミンと呼びます)なので、技術関連の部下はいません。肩書きはVP(副社長)&サンフェロー。

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 ジェームズ・ゴスリング(James Gosling)

 
 
 

 



ジョン・ゲージ(John Gage)は、サンのサイエンスオフィスVP(副社長)&チーフ・リサーチャ。JavaOneで毎年司会を務めていますが、もともとビル・ジョイといっしょにUCバークレーでBSDを作ったひとです。部下はいません。

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 ジョン・ゲージ(John Gage)

 
 
 
 
 
 

グレッグ・パパドプラス(Greg Papadopuolos) はサンのCTOで、エグゼクティブ・バイスプレジデントで、部下は300人弱います。グレッグはCTOだけでなく、サンのリサーチに対する全体責任を持っており、世界中に散らばる研究所を有機的に運営しています。しかし、もともとはマサチューセッツ工科大学(MIT)の教授でP2Pにおける権威です。

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 グレッグ・パパドプラス(Greg Papadopoulos)

 
 
 
 
 
 

その他にも、世界のIT業界をリードしているたくさんの技術者がいます。こちらをご覧ください。みんなの写真があるのですが、全部貼ると迷惑なので、ここからは写真なしで。

ウィットフィールド・ディフィー(Whitfield Diffie)は、SSLに使用されているDiffie-Hellman暗号の暗号アルゴリズムの開発者。現在、サンのCSO(チーフ・セキュリティ・オフィサー)ですが、部下はいません。

ジョン・ボーザック(Jon Bosak)はXMLを作った11人のなかで、リーダーの役割を果たしたひとです。部下はいません。肩書きはDistinguished Engineer(DEと呼ばれ、技術者として、フェローに次ぐ職位です)。

ティム・ブレイ(Tim Bray)はジョン・ボーザックといっしょにXMLを作ったひとりですが、それだけに留まらず、RSS Atom をサポートし、さらに、Java VM上でRubyを稼動させるJRubyのプロジェクトを支援し、ついにサンにその中心的なリーダーたちを入社させてしまった人です。現在、Director of Web Technologyという肩書きです。わたしはこの人を尊敬してます。部下はいません。

以上はほんの一例で、JavaやSolaris、HWの技術的リーダーたちも部下は持っていません。このように、サンの場合、技術的なリーダーは個人で活躍し、マネージャは、その組織をどのように運営するかが仕事です。グレッグ・パパドプラスの場合は、逆に特殊、というか、マネージャとしての役割を大きく期待されているようです。 

きょう、本屋によった際、ハーバード・ビジネス・レビュー(日本語版)がちょうど創刊30年を向かえ、記念号が出ていたので買いました。30年間のさまざまな論文が載っています。このなかで、アブラハム・ザレズニックというハーバード・ビジネススクールの名誉教授が、「マネージャーとリーダーの違い」という論文を1977年に書いており、その中で、マネージャーはリーダーの代わりにはなれない、とか、マネージャーとリーダーは違う種類の人間である、などの議論を展開しています。

もう30年前から、マネージャの役割とリーダー、スタッフ、現役の役割が異なることについて議論されています。ただ普通の組織作りでは、今まであった習慣とか感覚が重視され、まねーじゃ=リーダーの組織になっていると思われます。ただし、マネージャに昇進することだけが重要だと考えるのは、20世紀以前の考え方で、21世紀的ではないように思います。

(サンの技術的なリーダーの詳細は、英語版のWikipediaにリンクしました。)

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