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外資系金融機関を担当する経営コンサルタントの活動記録 ~ プライスウォーターハウスクーパースの高橋正敏です。

競争のステージは変わった。

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最近、ニュースなどで、PI戦争という言葉がよく聞かれるようになりました。自動車業界の競争、それもハイブリッド車の開発・販売競争に関する表現です。ご存知トヨタのP(プリウス)と、ホンダのI(インサイト)の略です。低迷している自動車販売において、絶好調な売れ行きを示すこの両社(両車)の競争は大いに注目されています。

アメリカの自動車業界(ビッグスリー)が壊滅的な状態になっています。そこでの話題は、支援の金額をいくらにするか、とか、Chapter11適用するかどうかといった種が多く、それを見るにつけて、もう、競争のルールが変わった、というか、ステージが変わった、ということを実感します。

先日某テレビ番組で、トヨタの豊田章男次期社長が出ていて、新型プリウスへの想いを熱く語っていました。PI戦争ということで、ホンダのインサイトとの比較をよくされますが、当然、この分野の第1人者らしく、「1企業との競争を大事にしながら、この分野で世界をリードして、日本を元気にしたい」というようなことをおっしゃっていました。

両社とも、燃費とデザイン、走行快適性、そして何より、一般普及を目指した低価格を目指して競争をしているのです。そうなると、アメリカ自動車業界には申し訳ないけど、ステージがひとつ違うと思います。日本が世界をリードしていく姿は痛快ですが、それでも夢があふれるこの分野は、国際的な競争であってほしい。

GMもクライスラーも今では、常にChapter11と背中合わせの状態です。しかし、アメリカ人には強烈な挑戦者精神があり、世界にも知られたリーダーシップもあります。そして何より明るいひとたちが多い。ですので、個人的には、クライスラーのChapter11申請の話は好意的にとらえています。大きな代償を払うにせよ、つぶすべきはつぶして、一度スクラップしたうえで、未来に向けて再生を目指すほうが、いつまでも中途半端に支援を受け続けるよりも、彼らに相応しい姿勢であると思うからです。

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