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シンセメーカーに入社するためのプレゼンとしてこれ以上のものはないよね

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 月末には発売となるコルグの超小型手乗りアナログシンセサイザーKORG monotron。この開発を企画したのはKAOSSILATORでおなじみの坂巻さんなんですが、坂巻さんが「ノブ4つで5000円で作ってね」との指示に答えて高橋達也さんが作り上げたわけですが、この高橋さんというのが筋金入りのシンセマニア。

 入社のときのステキなエピソードがあって、どうしてもシンセをやりたいというので、自作のシンセサイザーを持ち込んだそうなのです。それで無事に入社して4年後に作られたのがKORG monotron。ノブは1個増えて5個になりましたが、実売価格は5000円付近ときっちり守り、むちゃくちゃとんがったシンセに仕上がってます。

 KORGにとって、アナログシンセサイザーの名機といえば、やはりMS-10/20。ちなみにぼくは両方とも持っていますが、それはどうでもよくて、そのMS-10/20の発売の年に生まれたのが坂巻さん。ずっと、アナログシンセをやりたいという希望を持っていたのですが、今回ようやく念願がかない、というかかなえてしまい、超小型のアナログシンセを作り上げてしまったわけです。

 その彼がコルグに入社するときの面接に持ち込んだという伝説のシンセサイザー&シーケンサーがこれ:

 バックで鳴っているのはiELECTRIBEとかmonotronとかですが、ピコピコのテクノサウンドとその解説はお聞きいただけると思います。高橋さん自らの説明。

iELECTRIBEとmonotronをつなげてみた

monotronの設計は「ノブは5つね」とざっくり仕様を決めて若いエンジニアに渡して、自由に作ってもらったらしい。コルグの中ではアナログシンセをやりたくて入った人たちと700SやMS-10/20を作った人たちが「共存」していて、今回の「アナログシンセ」をMade in Japanで復活させたというのは意義深いもの。

 この若いエンジニアというのが実は高橋さんでした。

 monotronのLFOがかなりの高周波、低周波まで出せるようになったのは、このオリジナルのアナログシンセ開発者の話に感銘をうけたからだといいます。世代を超えたアナログシンセへの愛。そこから生まれた手乗りシンセ。楽しくないわけがないじゃないですか。

30年以上の時を隔て、KORG monotronとMS-10が出会った

 ここではmonotronをMS-10と並べてみたのですが、今日のコルグ・ブロガーミーティングでは、その兄貴分のMS-20が置かれていました。そこでツーショット。

Ms10monotron

 そしてこれ。

Korg35

 このKORG35というチップは、MS-10/20に使われたフィルターチップ。これを忠実かつ過激に再現したものが、monotronに組み込まれているのです。

 MS-10というのはとにかくマジックアイテムですね。ぼくも大学1年のときにこのシンセを手に入れなかったらその後、コンピュータを手に入れてシーケンサーを使い始めることもなかったでしょうし、バンドでカミサンと出会うこともなかったでしょう。そんなシンセの末裔と、それを作り上げた若者と会って話ができるなんて、こんな幸せなことはありません。

追記:ジェット☆ダイスケ編集の、monotronプロジェクトX動画が投稿されました。すばらしいです。ラストもいい!

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