2028年までにAI基盤モデルの主流は80%が「マルチモーダル」に
IDCが2025年2月19日に公表したレポート「IDC FutureScape: Worldwide AI and Automation 2025 Predictions - Asia/Pacific (Excluding Japan) Implications」によると、2028年までに、AI基盤モデルの80%がマルチモーダル機能を備えると予測しています。企業は従来のテキスト解析にとどまらず、画像、音声、動画を統合的に活用することで、より高度なインサイトを得る動きになると見込んでいます。
AIの進化を支える主要トレンド
IDCは、今後数年間でAIとオートメーションが企業の競争力を左右する要因になると指摘しています。特に以下のトレンドが、アジア太平洋地域の企業にとって重要となります。
-
小規模モデルの普及:2026年までに、アジア太平洋地域の大手企業(A1000企業)の90%が、コスト削減やパフォーマンス向上のために、小規模なLLM(SLM)の訓練に注力する。
-
AIインフラのコモディティ化:2027年までに、AI開発のコストは約70%削減されると見込まれる。ローコード/ノーコード(LC/NC)ツールの進化やセキュリティフレームワークの発展により、AIの導入障壁が大幅に低下する。
-
エンタープライズAIエージェントの台頭:2025年までに、A1000企業の60%が、特定のビジネス機能に最適化されたエンタープライズAIエージェントを活用し、ビジネス価値の向上を目指す。
-
ハイブリッドクラウド推論の拡大:2026年までに、A1000企業の70%がハイブリッドエッジ-クラウド推論を採用し、エッジコンピューティングとクラウドの統合を進める。
-
AIセキュリティと説明可能性の強化:AIの透明性と規制対応が求められる中で、企業はAIモデルの信頼性を高めることに注力する。
企業が直面する課題と求められる対応
AIの普及が進むにつれ、企業は新たな課題にも直面しています。特に、AIのスキルギャップ、規制対応、データプライバシーの確保は喫緊の課題です。アジア太平洋地域では、国ごとに異なるAIガバナンスが存在し、企業は地域ごとの規制に適応する必要があります。
また、企業はAIの導入を成功させるために、以下の点に注力する必要があります。
-
AI人材の育成:データサイエンティストやAIエンジニアの確保が急務。
-
ガバナンスの強化:透明性のあるAI運用が求められる。
-
ハイブリッドアーキテクチャの最適化:エッジとクラウドの活用バランスを最適化することで、パフォーマンスを最大化する。
今後の展望
AIは今後数年間で、より高度かつ統合的な形で進化を遂げることが予想されます。企業は、AIを単なる補助ツールとしてではなく、事業戦略の中核に据えることで、競争優位性を高めていくことが求められています。
エンタープライズAIエージェントの発展は、業務効率を飛躍的に向上させる可能性があり、これにより、従業員の業務負担が軽減され、企業の意思決定が迅速化していくことが期待されます。一方で、AIの倫理やプライバシー確保に向けた取り組みもますます重要になっていくと考えられます。