AIアシスタントの普及でモバイルアプリ利用は減少する ～ガートナーの予測

ガートナー社は2025年1月15日、 2027年までにモバイルアプリの利用がAIアシスタントの普及によって25%減少するとの予測を発表しました。

Gartner Predicts Mobile App Usage Will Decrease 25% due to AI Assistants by 2027

ガートナーの予測は、AIアシスタントや消費者行動の変化、そして進化するマーケティング戦略に企業がどのように適応していくか、予測しています。

AIアシスタントがアプリ利用に与える影響

スマートフォンユーザーは、Apple Intelligence、ChatGPT、Google Gemini、Meta AIなどのAIアシスタントを利用することで、多くの機能で従来のアプリを代替するようになると予測しています。さらに、アプリ市場ではブランドや企業間での統合が進み、モバイルアプリの連携やコンソーシアムの形成が進む見通しです。これにより、アプリ開発や維持にかかるコストが削減される一方、より多くのユーザーにリーチすることが可能になります。

ガートナーのマーケティング部門シニアプリンシパルであるエミリー・ワイス氏は次のように述べています。

CMOはモバイルアプリ利用の減少による影響を見据えたシナリオ計画を開始すべきです。特に、アプリのエンゲージメントやリテンションが低いブランドは大きな影響を受ける可能性があります。一方、アプリに過度に依存していないブランドにとっては、開発コストの削減がプラスに働くでしょう。ただし、AIアシスタントへの移行によるデータ収集機会の喪失やプッシュ通知を通じたユーザーリーチの減少といった課題も避けられません

検索エンジン向けコンテンツの変化：2026年までにウェブコンテンツの3分の1が生成AI用に

ガートナーが2024年に実施したCMO支出調査（395人を対象）によると、平均的なCMOはデジタルマーケティング予算の約25%を検索エンジン関連に割り当てています。現在、検索は多くの企業ウェブサイトにとって最も重要なトラフィックの流入源となっていますが、主要検索エンジンのアルゴリズム変更によりトラフィックが減少する可能性があります。

エミリー・ワイス氏は以下のようにコメントしています。

CMOは生成AIやAI技術が検索アルゴリズムに与える影響を理解する人材を採用する必要があります。また、検索およびコンテンツの専門知識を持つチームを強化し、AIスキルセットを有する人材育成に投資すべきです。

ソーシャル広告費の30%がサブスクリプションチャンネルに移行

2028年までにデジタルマーケティング予算の30%が、サブスクリプションベースのチャンネルでの広告やパートナーシップに充てられる見込みです。消費者がソーシャルメディアから他のプラットフォームやサブスクリプション型チャンネルへと移行する中、CMOは新たな戦略を模索しています。

ガートナーの調査によると、2024年のB2Cマーケティングリーダーはデジタルチャネル予算の14.3%をソーシャルメディア広告に割り当てています（2023年の12.3%から増加）。

ワイス氏は次のように述べています。

クローズドグループコミュニティやサブスクリプションチャンネルは、アルゴリズムに依存しない消費者やコンテンツクリエーターにとって代替手段となり得ます。ブランドは、SubstackやPatreon、Discordといったプラットフォームを活用し、関心を持つターゲット層に効果的にリーチすることができます。

AIエージェントが顧客データ収集を主導

2027年までに顧客データの85%がAIエージェントや自動化されたインタラクションを通じて収集されると予測しています。現在のAIモデルは複雑な環境でタスクを実行する能力に限界がありますが、今後の進化によりAIエージェントはより信頼性が高くなる見込みです。

ワイス氏は次のように指摘しています。

将来的には、人間が関与する現在の方法は時代遅れになるでしょう。マーケターは、AIエージェントがブランドや顧客を代表して適切に行動できるタイミングを見極める必要があります。

今後の展望

これらの予測は、AIの進化が企業のマーケティング戦略に与える影響を強調しています。特に、モバイルアプリ利用の減少や検索エンジン向けコンテンツの変化、そしてAIエージェントの台頭は、企業に大きな影響を与える可能性があります。CMOは今後、AIの可能性を最大限に活用しながら、迅速かつ柔軟に対応する体制を整えていくことが求められています。