クラウド市場、過去最高の成長率に：生成AIが需要を押し上げる

Synergy Research Groupは2024年11月1日、クラウドインフラサービス市場は2024年第3四半期の市場調査を公表しました。本調査によると、過去最高の成長率を記録し、企業のクラウド関連支出は前年同期比で23%増加し、総額は840億ドルに達しています。この急成長の背景には、生成AIがもたらす新たな需要の高まりが大きく影響しています。市場は、長期的な安定成長に加え、新技術の導入が追い風となり、過去最高の勢いを見せています。

Cloud Market Growth Surge Continues in Q3 - Growth Rate Increases for the Fourth Consecutive Quarter

生成AIは、多様な産業分野での活用が進み、クラウドプロバイダーにとって新たな成長ドライバーとなっています。AIベースのサービスやアプリケーションを支えるため、膨大なデータ処理能力とストレージが必要とされており、クラウドインフラへの需要が急増しています。Synergy Research Groupの主任アナリスト、ジョン・ディンズデール氏は「生成AIはクラウド市場をさらに拡大する波を作り出しています。この新しい波が、既存の市場構造をさらに強化しています」とコメントしています。

市場シェアでリードするAmazonは、依然として31%の市場占有率を維持していますが、競争は激化しています。Microsoft（20%）とGoogle（13%）は、いずれも前年比で高い成長率を記録しており、特にGoogleの成長が顕著でした。これにより、主要3社は引き続き市場の支配的地位を維持しています。一方、Oracle、Huawei、Snowflake、CloudflareなどのTier 2プロバイダーも急成長を遂げており、特化型のサービスや地域展開で競争力を高めています。

クラウド市場の中心を占めるのは、IaaS（Infrastructure as a Service）およびPaaS（Platform as a Service）です。これらのパブリッククラウドサービスは、2024年第3四半期に24%の成長を遂げました。Synergyの推計によれば、クラウドインフラサービス全体の収益は838億ドルに達し、過去12か月間の累積収益は3130億ドルに達しています。特に、パブリッククラウド市場では主要3社が68%のシェアを占めており、その支配力が一層明確になっています。

クラウド市場は地域ごとに異なる成長パターンを示しています。米国市場は引き続き最大規模を誇り、第3四半期に23%成長しました。その規模はアジア太平洋地域全体を上回ります。一方、成長率ではインド、日本、ブラジル、イタリアなどが世界平均を上回る成果を見せています。ヨーロッパ市場では、英国とドイツが最大の市場を形成する一方、アイルランド、イタリア、スペインなどが高い成長を記録しました。

過去4四半期でクラウド市場は160億ドルの成長を遂げましたが、この成長は生成AIが引き金となった新たな需要の波によるものです。新しいAI技術が次々と登場し、企業がこれを迅速に取り入れる動きが市場を支えています。生成AIに関連するインフラへの需要は、クラウドプロバイダーにさらなる収益機会を提供し、その結果として新たな技術への投資が進むという好循環を生み出しています。

出典：Synergy Research Group 2024.11