アニメなどの日本のコンテンツ産業
アニメやゲームなどの日本のコンテンツ産業は世界にも大きな影響をもたらし、文化的な象徴にもなっています。
今回は、2024年9月9日に開催した「コンテンツ産業官民協議会（第１回）・映画戦略企画委員会（第１回）」から、日本のアニメなどのコンテンツ産業の強みを維持しつつ、デジタル化や海外市場の拡大への対応やコンテンツ産業のさらなる発展に向けた方向性を考えてえいきたいと思います。
世界を席巻する日本のアニメ産業
日本のアニメは、国内外で圧倒的な人気を誇り、日本のコンテンツ産業は2022年時点で13.1兆円の規模を持ち、世界第3位の市場規模を誇っています。
日本のコンテンツ産業を代表するのは、アニメです。2022年、アニメ制作会社の海外売上高は856億円に達し、長寿シリーズ「ドラゴンボール」や「ポケットモンスター」が海外市場で安定した人気を誇っています。
また、キャラクターが誕生してからの累積収入（USドルベース）ランキングでは、世界のTOP17の約半分にポケモン、ハローキティ、マリオなどの日本発コンテンツがランクインしています。
任天堂やソニーの家庭用ゲーム機は、グローバル市場で圧倒的なシェアを持ち続けています。これにより、日本は家庭用ゲーム市場で中国や韓国を大きく上回る成果を上げています。
これらの分野は、日本の経済にとって重要な収益源であり、文化的な影響力も世界中に及んでいます。
デジタル化の遅れに直面する日本のコンテンツ産業
一方で、日本のコンテンツ産業はデジタル化の遅れに直面しています。2022年時点で、日本の映像コンテンツのデジタル化率は71％にとどまり、米国の94.3％、中国の100％に大きく遅れを取っています。
音楽配信についても、日本は52.5％にとどまり、米国や中国と比べて低い水準にあります。このデジタル化の遅れは、ストリーミングサービスが世界的に主流となる中で、収益機会を逃す機会も出ています。
Netflixのようなストリーミングサービスは、制作費やコンテンツの質で圧倒的な競争力を誇っています。2023年時点で、Netflixの売上高は337億ドルに達し、日本の主要テレビ局の制作費を大きく上回ります。
日本のテレビ業界は、広告収入の減少と共に番組制作費が縮小しており、こうした競争力の格差を埋めるためにも、デジタル戦略の強化が急務となっています。
聖地巡礼による経済効果も
日本のアニメの影響力は、単にコンテンツの消費に留まらず、観光業にも大きな影響を与えています。特に「聖地巡礼」として知られるアニメの舞台となった場所を訪れる観光が、経済効果を生み出しています。2017年のデータによると、訪日外国人のうち、アニメや映画の関連地を訪れた「聖地巡礼者」は約140万人に上り、アニメ関連グッズの購入額は380億円に達しました。
潜在的な聖地巡礼者は310万人に達する可能性があり、彼らの国内消費支出は4,700億円に達するとの試算もあります。これは、日本の地方経済にとっても大きな活力となり、コンテンツ産業と観光業が連携することでさらなる経済効果を期待できます。
こうした現象は、アニメが単なる娯楽産業を超え、地域経済や観光業にも多大な影響及ぼしているといえるでしょう。
今後の展望
世界中に影響力を持つ日本のアニメを中心としたコンテンツ産業は、今後もさらなる成長が期待される一方で、デジタル化の遅れやストリーミングサービスとの競争など、課題にも直面しています。
デジタル化の遅れやグローバル市場での競争が激化している現状に対応するため、ストリーミングサービスやデジタルコンテンツ展開やWeb3への対応など、新たな成長分野への対応も重要となっています。
また、Netflixなどのプラットフォームが急速に台頭する中、日本のコンテンツ産業もデジタル戦略を加速させ、新しい収益モデルを構築することが求められています。AIやVR技術を活用した新しいエンターテインメント体験の提供も、今後の成長を後押しするアプローチとなるでしょう。
