オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

アジア太平洋地域におけるパブリッククラウド市場、生成AIが成長を牽引

»

IDCは2024年8月21日、アジア太平洋地域(日本および中国を除く)におけるパブリッククラウド市場の調査結果を公表しました。

IDC: Public Cloud Services Market in Asia/Pacific* Grew 24.2% to US$41.5 billion in 2023

パブリッククラウド市場は、アジア太平洋地域(日本および中国を除く)で2023年に24.2%成長し、総額415億米ドルに達しました。この成長は予測を上回る結果となり、特に生成AIの普及が市場の活性化に大きく貢献しています。

生成AIとクラウドサービスの進化

生成AIの利用が進む中で、AIプラットフォームやデータ管理ソフトウェアの需要が急増しています。その結果、Platform as a Service(PaaS)市場は前年比46.5%の成長を記録し、過去4年間で最も高い成長率を示しました。また、Software as a Service(SaaS)市場も堅調に拡大し、依然としてパブリッククラウド市場全体の60%以上を占めています。特に生成AIを組み込んだアプリケーションが、このSaaS市場の持続的な成長を支えています。

一方、Infrastructure as a Service(IaaS)市場の成長率は、2022年の21.3%から2023年には12.9%へと鈍化しました。これはアジア太平洋地域の経済状況の影響で、企業がコスト最適化を重視し、自動化ソリューションへの投資を優先していることが原因です。

IDCアジア太平洋のアナリストは、

クラウドプロバイダーは開発者にとって使いやすく、効率向上を目指した生成AI関連の製品を続々と提供しており、これがPaaSおよびSaaS市場に大きな影響を与えています。IaaS市場にはまだ大きな影響は見られませんが、コンピューティングの価格構造やリソース計画が、企業が大規模な生成AIワークロードをIaaS上で実行することを抑制しています

と述べています。

規制産業におけるクラウド利用の拡大

特に規制の厳しい業界では、クラウドサービスの主権性が重要なトピックとなっています。多くの規制産業がパブリッククラウドを採用する中で、グローバルおよびローカルのクラウドプロバイダーは地域内にデータセンターを設立し、ハイブリッドクラウドやソブリンクラウドの提供を強化しています。これにより、規制に準拠しながらもレガシーなワークロードのモダナイゼーションが進み、クラウド移行が加速することが期待されています。

2023年には、アジア太平洋地域のパブリッククラウド市場において、Amazon Web Services(AWS)、Google、Microsoft、Salesforce、SAPの5社が引き続きトップシェアを維持しています。これらの企業は、新興企業や他のグローバルプレイヤーからの挑戦を受けつつも、2023年には市場シェアの41.2%を獲得しており、前年の41.0%からわずかにシェアを拡大しています。

今後の成長見通し

IDCによると、2024年のパブリッククラウド市場は508億米ドルに達し、前年比22.4%の成長が見込まれています。さらに、2028年までに市場規模が1030億米ドルに達し、年間平均成長率(CAGR)は19.9%に達すると予測されています。特にPaaS市場は、IaaS市場を2025年までに上回る見込みであり、今後もパブリッククラウド市場全体の成長を牽引する存在となると予測しています。

生成AIの急速な進化とそれに伴うクラウドサービスの高度化は、企業の競争力を左右する要因となっています。クラウド技術の進展は、コスト効率化や業務プロセスの自動化を支援し、各業界に革新をもたらしています。企業はこの動向を捉え、戦略的なクラウド導入を進めることが求められています。

スクリーンショット 2024-08-24 22.20.19.png

出典:IDC 2024.8

Comment(0)