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AI市場は急成長し、2028年までに世界で6320億ドル規模へ 〜IDC調査

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IDCが2024年8月19日、世界のAIに関する市場予測を公表しました。

Worldwide Spending on Artificial Intelligence Forecast to Reach $632 Billion in 2028, According to a New IDC Spending Guide

IDCの調査によると、世界のAI関連支出は2028年までに6320億ドルに達する見込みで、AI対応アプリケーションやインフラ、関連するITおよびビジネスサービスを含んでおり、2024年から2028年にかけての年平均成長率(CAGR)は29.0%になるとされています。特に生成AIの急速な普及が、この急成長を後押ししています。

IDCのAI・データリサーチ部門のリーダーであるリトゥ・ジョーティ氏は

AIを活用した変革が、世界中の企業に具体的なビジネス価値をもたらしています。各企業は、従業員体験、顧客エンゲージメント、ビジネスプロセス、業界革新を中心にAI戦略を構築しています

と述べています。信頼性の高いAIツールや技術が急速に進化し、AIと人間の協力関係がより調和していることから、大規模なAI導入における障壁は徐々に解消されつつあるといいます。

生成AIは特に過去18カ月で注目を集めており、2028年までに生成AIへの支出は全AI支出の32%に当たる約2020億ドルに達する見込みです。この成長率は59.2%と、他のAI技術を大きく上回る勢いです。一方で、機械学習やディープラーニング、自然言語処理などの従来のAI技術も引き続き重要な役割を果たしています。

AI関連の支出が最も多い業界は金融サービス業界であり、特に銀行業界が中心的な役割を果たしています。金融サービス業界全体で、2024年から2028年にかけて全AI支出の20%以上を占めるとされており、次いでソフトウェア・情報サービス、小売業が主要な支出業界となっています。また、AI支出の成長率が特に高い業界として、ビジネス・パーソナルサービス業(年平均成長率32.8%)と運輸・レジャー業(同31.7%)が挙げられています。

AI関連支出の中で最も大きな比重を占めるのはソフトウェアです。全体の半数以上がソフトウェアに関連する支出となっており、その約3分の2はAI対応アプリケーションやAIプラットフォームに向けられます。また、AIハードウェア、特にサーバーやストレージ、IaaS(Infrastructure as a Service)の支出も大きく、ITおよびビジネスサービスへの支出はハードウェアを上回る成長を見せると予測されています。

地理的な視点では、アメリカがAI支出の最大の地域となり、2028年には3360億ドルに達する見通しです。これに続くのは西ヨーロッパ、中国、アジア太平洋地域(日本と中国を除く)です。特にアメリカにおける生成AIへの支出は、2028年までに1080億ドルに達する見込みです。

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出典:IDC 2024.8

まとめ

AI市場の急速な拡大は、ビジネスや業界の構造を大きく変革する力を持っています。金融業界をはじめとする各業界が積極的にAIを導入し、生成AIなどの新技術が加速的に成長する中で、日本企業もこの潮流に乗り遅れることなく、AIへの投資と活用を進める必要があります。デジタルトランスフォーメーションが進展する中で、AIの戦略的導入は、今後の企業競争力を左右する重要な要素となるでしょう。

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