世界のパブリッククラウド支出、2028年までに倍増 - IDC最新予測
IDCは2024年7月29日、2024年の世界のパブリッククラウドサービス市場予測を公表しました。
IDCに調査によると、2024年の世界のパブリッククラウドサービスへの支出は8,050億ドルに達し、2028年までにその規模が倍増すると予測しています。
IDCの「世界ソフトウェアおよびパブリッククラウドサービス支出ガイド」によれば、2024年から2028年の予測期間中、年次支出成長率はやや減速するものの、市場は年間平均19.4%の成長率（CAGR）で拡大すると予測しています。
IDCのアナリストは、
クラウドは今やインフラ、プラットフォーム、アプリケーションのあらゆる面で技術支出を支配しています。多くの企業が、コスト効果の高いプラットフォームとしてパブリッククラウドを採用しており、これにより企業アプリケーションのホスティングや顧客向けソリューションの開発・展開が行われています。今後もクラウドモデルは、アプリケーション開発と展開の革新におけるニーズを満たすために非常に適したものとして位置づけられています。
と述べています。
業界別のクラウド支出
IDCのガイドでは28の業界がカバーされており、その中でも最大の3業界 - 銀行業、ソフトウェアおよび情報サービス、リテール - は2024年に合計で1,900億ドルのパブリッククラウドサービス支出を占めると予測しています。
次いで大きな5業界 - テレコミュニケーション、メディア・エンターテイメント、資本市場、医療提供者、専門および個人サービス - はそれぞれ世界全体の支出の5%以上を占めると予測しています。
2028年までに最も急速にクラウド支出が増加する業界は、資本市場、ライフサイエンス、保険（いずれもCAGR約23%）です。消費者業界を除くすべての業界が2023年から2028年の予測期間において二桁の成長率を達成すると予測しています。
IDCのアナリストは、
AIの急速な進歩がクラウド支出の急増を大きく推進しています。多くの企業がAIプラットフォームを構築、テスト、展開しており、AIの革新とクラウドインフラの相互依存が高まっています。クラウドサービスはAI開発と展開の基盤として位置づけられており、今後もこの傾向は続くでしょう。
と述べています。
クラウドサービスのカテゴリー別の動向
2024年のパブリッククラウド支出の40%以上を占める最大のカテゴリは「ソフトウェア・アズ・ア・サービス（SaaS） - アプリケーション」です。主要なSaaSアプリケーションには、エンタープライズリソースマネジメント（ERM）や顧客関係管理（CRM）が含まれ、これに続いてコンテンツワークフロー管理アプリケーションやコラボレーティブアプリケーションがあります。SaaS - アプリケーションカテゴリは、5年間のCAGRで16.5%と、全体市場よりもやや遅い成長と予測しています。
「プラットフォーム・アズ・ア・サービス（PaaS）」および「インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス（IaaS）」は、2024年のパブリッククラウド支出のそれぞれ20%近くを占め、差額はわずか10億ドル未満です。PaaSはデータ管理ソフトウェアによって最も成長が速いカテゴリとなり、AIプラットフォームは5年間のCAGRで51.1%という急速な成長を遂げる見込みです。IaaS支出は、コンピュート、ストレージ、ネットワーキングデバイスで構成され、次に速い成長を見せています。
「システムインフラストラクチャソフトウェア・アズ・ア・サービス（SIS）」は、全体の市場のわずか16%以上を占める最小のカテゴリです。このカテゴリでの最大の投資領域はセキュリティソフトウェアであり、ERMおよびCRM支出に匹敵します。物理および仮想コンピューティングソフトウェアはSIS製品の中で最も急速に成長する見込みです。
地域別のクラウド支出
地理的観点から見ると、アメリカが最大のパブリッククラウドサービス市場であり、2024年には4,320億ドルの支出が見込まれています。西ヨーロッパは1,670億ドルに迫る支出で2番目に大きな市場となり、アジア太平洋地域（日本と中国を除く）（APeJC）は510億ドル以上の支出で続きます。APeJC、中央および東ヨーロッパ、ラテンアメリカ、中東およびアフリカ、西ヨーロッパの5つの地域は、5年間のCAGRが20%以上となる見込みです。
AI、データ管理、エッジコンピューティングなどの先端技術の進展がクラウド市場の成長をさらに加速させることが予測されており、企業や業界はこの動向に注目する必要があるとしています。
