オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

ガートナー、2025年末までに生成AIプロジェクトの30%が断念されると予測

»

ガートナーは2024年7月29日に公表した調査によると、少なくとも30%の生成AIプロジェクトが2025年末までに概念実証(PoC:Proof of Concept)が断念されると予測しています。

Gartner Predicts 30% of Generative AI Projects Will Be Abandoned After Proof of Concept By End of 2025

その理由は、データ品質の低さ、不十分なリスク管理、コストの増加、またはビジネス価値の不明確さなどを挙げています。

ガートナーのアナリストは、

昨年の盛り上がりの後、経営者たちは生成AI投資のリターンを早く見たいと考えていますが、多くの組織は価値を証明し実現することに苦労しています。プロジェクトの範囲が広がるにつれて、生成AIモデルの開発と展開の財務負担が増大しています。

と述べています。

生産性向上のための投資の困難さ

生成AIへの大規模な投資を正当化することは難しい状況となっています。多くの組織は生成AIを使ってビジネスモデルを変え、新しいビジネスチャンスを作ろうとしていますが、多額のコストがかかります。プロジェクトによってはコストは500万ドルから2000万ドルに及ぶことがあるといいます。

スクリーンショット 2024-08-04 19.05.08.png

出典:ガートナー 2024.7.29

ガートナーのアナリストは、

生成AIには一律のアプローチは存在せず、他の技術と同様に予測可能なコストではありません。費用、投資するユースケース、採用する展開方法はすべてコストを決定する要因です。市場を革新しAIを全方位に浸透させたい企業もあれば、生産性向上や既存プロセスの延長に保守的に焦点を当てる企業もあります。それぞれの企業が直面するコスト、リスク、変動性、戦略的影響は異なります。

と述べています。

生成AIのビジネス価値とは

これまで生成AIを導入した企業では、さまざまな業種やビジネスプロセス全体でビジネス改善事例も挙げられています。

ガートナーの最近の調査によると、回答者は平均して15.8%の収益増加、15.2%のコスト削減、22.6%の生産性向上を報告しています。この調査は2023年9月から11月の間に822人のビジネスリーダーを対象に実施されました。

ガートナーのアナリストは、

このデータは、生成AIビジネスモデルの革新から得られるビジネス価値を評価するための貴重な参考資料です。しかし、その価値を見積もる際の課題も認識することが重要です。利益は企業、ユースケース、役割、労働力に特化しているため、影響はすぐには明らかにならないことがあり、時間が経つにつれて現れることがあります。しかし、この遅れが潜在的な利益を減少させることはありません。

と述べています。

生成AIによるビジネスインパクト

生成AIビジネスモデルの革新によるビジネス価値と総コストを分析することで、直接的なROIと将来の価値影響を確立できます。これは、生成AIビジネスモデルの革新に関する投資判断を行う際の重要なツールとなり得るとしています。

ガートナーのアナリストは、

ビジネス成果が期待を上回る場合、生成AIの革新と使用をより広範なユーザーベースや追加のビジネス部門に展開する機会が生まれます。しかし、期待を下回る場合、代替の革新シナリオを検討する必要があるかもしれません。これらの洞察は、リソースを戦略的に配分し、最も効果的な進行方法を決定するのに役立ちます。

と述べています。

生成AIのビジネス価値を見極めるには、具体的な数値や事例を基にした慎重な評価が必要です。生成AIプロジェクトの成功には、初期投資の正当化だけでなく、長期的な視点での戦略的なリソース配分が重要となっています。

Comment(0)