2024年データセンター市場、生成AIの進展によりGPUから冷却機器まで急拡大
富士キメラ総研は2024年7月29日、生成AIおよび大規模言語モデル(LLM)の発展によりデータセンターへの投資が増加していることを受け、「2024 データセンター・AI/キーデバイス市場総調査」の結果を発表しました。本調査では、データセンター向け機器/設備の市場動向と将来予測に焦点を当てています。
2022年に「ChatGPT」(OpenAI)がリリースされて以来、大手クラウドサービス企業が生成AIや大規模言語モデル(LLM)の開発を加速させ、生成AIに特化した新興企業も増加しました。これにより、データセンターへの設備投資が活発化しています。
その結果、高速演算を可能にするGPUやアクセラレーターを搭載したAIサーバーの需要が急増しており、データセンター関連の市場が拡大しています。特に、AIサーバーの高い発熱に対応するため、高性能な冷却設備や放熱性の高い基板などの需要が急増しており、2024年には市場規模が前年比50.7%増の53兆4,705億円に達すると見込まれています。
現在、AI関連の機器やデバイスは高騰していますが、今後は技術の進展やソフトウェアの改善、十分なハードウェア供給によって価格が下がると予想されます。それでも、AIの需要は引き続き増加するため、市場の成長は続くと考えられています。
出典:富士キメラ総研 2024 データセンター・AI/キーデバイス市場総調査 2024.7.29
市場規模と予測
調査によれば、データセンター向け機器/設備の世界市場は、2030年までに83兆3,450億円に達すると予測しています。これは、2023年比で約2.3倍の増加を示しています。特に、サーバー、記憶媒体、冷却機器などの投資が顕著に増加しています。
1. GPU/アクセラレーター
- 2024年予測: 15兆700億円(前年比2.3倍)
- 2030年予測: 29兆9,500億円(2030年比4.6倍)
生成AIの急速な発展により、GPUやFPGAベースのアクセラレーターの需要が急増しています。特に、AIサーバーの性能向上に伴い、データセンターにおけるGPUの需要は高まっています。今後もこのトレンドは続くと予想されています。
2. ターボ冷凍機
- 2024年予測: 1,137億円(前年比122.0%)
- 2030年予測: 2,420億円(2030年比2.6倍)
ターボ冷凍機は、省エネルギーかつ安定した運転が可能なため、データセンター内での需要が増加しています。特に北米のハイパースケールデータセンターでは、冷却能力向上が求められており、今後も市場は拡大すると見込まれています。
3. 冷却水(PAO/PFAS/エチレングリコールなど)
- 2024年予測: 1,440億円(前年比192.0%)
- 2030年予測: 7,630億円(2030年比10.2倍)
生成AIの発展により、液体冷却の需要が急増しています。AIサーバーの高い発熱量に対応するため、冷却水市場は大きく拡大しています。
4. DRAM
- 2024年予測: 4兆4,137億円(前年比146.0%)
- 2030年予測: 25兆5,915億円(2030年比8.5倍)
サーバーやグラフィックボード向けのDRAM市場は、AIサーバー向けの需要増加に伴い急成長しています。特にHBM(広域帯メモリー)の需要が高まっており、今後も市場の拡大が見込まれています。
まとめ
生成AIの発展により、データセンター市場は急速に拡大しています。特に、GPUや冷却機器、DRAMなどの需要が増加しており、2024年以降もこのトレンドは続くと予想されています。データセンター向けの投資は、今後さらに活発化するでしょう。