2024年のソフトウェアエンジニアリングにおけるトップ5の戦略的技術トレンド

Gartnerは2024年5月16日、ラスベガスで開催されたGartner Application Innovation & Business Solutions Summitにおいて、2024年以降のソフトウェアエンジニアリングにおけるトップ5の戦略的技術トレンドを発表しました。

Gartner Identifies the Top Five Strategic Technology Trends in Software Engineering for 2024

これらのトレンドは、企業の生産性、持続可能性、成長のためのビジネス目標達成を支援することを目的としています。

Gartnerが2023年の第4四半期に米国および英国の300人のソフトウェアエンジニアリングおよびアプリケーション開発チームのマネージャーを対象に実施した調査によると、65%のリーダーがビジネス目標の達成を主要なパフォーマンス目標の一つとしています。

GartnerのVPアナリストであるJoachim Herschmann氏は、

Gartnerが特定した技術トレンドは、早期導入者がビジネス目標を達成するのに既に役立っています。これらの革新的なツールやプラクティスは、ソフトウェアエンジニアリングチームが高品質でスケーラブルなAI駆動アプリケーションを提供し、ソフトウェア開発ライフサイクル（SDLC）における労力と摩擦を削減し、開発者の体験と生産性を向上させることを可能にします

と述べています。

以下は、2024年のソフトウェアエンジニアリングにおけるトップ5の戦略的技術トレンドです。

1. ソフトウェアエンジニアリングインテリジェンス（Software Engineering Intelligence）

ソフトウェアエンジニアリングインテリジェンスプラットフォームは、エンジニアリングプロセスの統一された透明な視点を提供し、リーダーが速度とフローだけでなく、品質、組織の効果、およびビジネス価値を理解し測定するのに役立ちます。Gartnerは、2027年までに50%のソフトウェアエンジニアリング組織が開発者の生産性を測定し向上させるためにソフトウェアエンジニアリングインテリジェンスプラットフォームを使用すると予測しています（2024年の5%からの増加）。

2. AI拡張開発（AI-Augmented Development）

AI拡張開発は、ソフトウェアエンジニアがアプリケーションを設計、コーディング、およびテストするのを支援するためにAI技術（生成AIや機械学習など）を利用することです。AI拡張開発ツールは、ソフトウェアエンジニアの開発環境と統合し、アプリケーションコードの生成、設計からコードへの変換、およびアプリケーションテスト能力を強化します。Herschmann氏は、「AI拡張開発への投資は、開発者の生産性を向上させ、コストを抑制するのに役立ち、チームがより多くの価値を提供する能力を向上させます」と述べています。

3. グリーンソフトウェアエンジニアリング（Green Software Engineering）

グリーンソフトウェアエンジニアリングは、炭素効率が高く、炭素を意識したソフトウェアを構築するための学問です。エネルギー効率の良いアーキテクチャやデザインパターン、アルゴリズム、データ構造、プログラミング言語、ランタイム、およびインフラを選択することが含まれます。Gartnerは、2027年までに大規模なグローバル企業の30%が、ソフトウェアの持続可能性を非機能要件に含めると予測しています（2024年の10%未満からの増加）。

4. プラットフォームエンジニアリング（Platform Engineering）

プラットフォームエンジニアリングは、内部開発者ポータルや複数のプロダクトチームが利用できるプラットフォームを通じて、開発者の認知負荷を軽減します。これらのプラットフォームは、開発者にとって魅力的な「舗装された道」を提供し、開発時間を節約し、仕事の満足度を向上させます。Gartnerは、2026年までに大規模なソフトウェアエンジニアリング組織の80%がプラットフォームエンジニアリングチームを設立すると予測しています（2022年の45%からの増加）。

5. クラウド開発環境（Cloud Development Environments）

クラウド開発環境は、リモートで利用可能なクラウドホスト型開発環境を提供し、セットアップや構成の手間を最小限に抑えます。この開発ワークスペースの物理的な作業環境からの分離は、摩擦の少ない一貫した開発者体験と迅速なオンボーディングを可能にします。

出展：ガートナー 2024.5