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デジタル社会の実現・生成AIへの対応に1,500億円超 ~令和6年経産省の概算要求

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経済産業省は2023年8月31日、令和6年度概算要求を公表しました。

経済産業政策の重点に関連し、
・産業競争力強化・経済成長及び排出削減の効果が高いGXの促進、
・物価高騰下で生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等の成長の下支え、
・大阪・関西万博の会場整備に関する施策、
・総合的な防衛力の強化に資する研究開発、
・福島復興の着実な実施 につき、

事項要求をしています。

令和5年度当初予算の1兆6,896億円に対して、令和6年度概算要求学は2兆4,615億円となっており、大幅な増額を要求しています。

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出典:経済産業省 令和6年度概算要求 2023.8.31

デジタル社会の実現・生成AIへの対応 【1,591億円(366億円)】

省電力や高度な計算能力の確保に繋がる先端半導体やパワー半導体、先端的なパッケージング技術、製造装置・部素材等の製造基盤整備、国際連携による次世代半導体等の研究開発を支援する。

➢ GXを実現する半導体の製造サプライチェーン強靱化支援事業【1,078億円(新規)】(GX)
➢ チップレット設計基盤構築に向けた技術開発事業【20億円(5億円)】
➢ 省エネAI半導体及びシステムに関する技術開発事業【50億円(34億円)】(エネ特)
※ 経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靭化支援事業【9,582億円(R4補正)】(一部GX)(再掲)
※ ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業【4,850億円(R4補正)】(一部GX)
※ 先端半導体の国内生産拠点の確保【4,500億円(R4補正)】

デジタル技術の社会実装に向けたドローン航路や自動運転支援道の設定等についての先行地域での取組(デジタルライフライン全国総合整備計画の策定・実施)を含む人流・物流分野のデジタル化・標準化や東京圏・大阪圏を補完・代替するデータセンター拠点の整備、PHR(Personal Health Record)を活用したサービスの創出、プログラム医療(SaMD)の開発・実用化等を推進する。

➢ 産業DXのためのデジタルインフラ整備事業【33億円(24億円)】
➢ 次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト【35億円(31億円)】(エネ特)
➢ 無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業【51億円(65億円)】(エネ特)
➢ 独立行政法人情報処理推進機構運営費交付金【69億円の内数(70億円の内数)】
➢ データセンターの地方拠点整備【15億円(1億円)】
➢ ヘルスケア産業基盤高度化推進事業【13億円(9億円)】

計算資源の拡充や生成AIに係る競争力のある基盤モデル開発促進、量子技術の産業化に向けた情報処理基盤の構築、生成AI等の活用も踏まえたデジタル人材の育成、未踏事業による若手人材育成を行う。

また、G7サミットで合意されたDFFT具体化に向けた国際枠組みの立ち上げ、セキュアなソフトウェア・IoT機器の流通促進、サイバー対処能力の向上などを通じた国際競争力のあるデジタル社会実現を目指す。

➢ IoT社会実現に向けた次世代人工知能・センシング等中核技術開発【38億円(35億円)】
➢ 生成AIに係る情報処理基盤産業振興事業【4億円(新規)】
➢ 量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業【15億円(10億円)】(エネ特)
➢ 地域の中堅・中核企業の経営力向上支援事業【27億円(25億円)】(後掲)
➢ 国立研究開発法人産業技術総合研究所運営費交付金【654億円の内数(618億円の内数)】(後掲)
※ 経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靭化支援事業【9,582億円(R4補正)】(一部GX)(再掲)
※ ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業【4,850億円(R4補正)】(一部GX)(再掲)

➢ 規制改革推進のための国際連携事業【2億円(1億円)】
➢ 産業サイバーセキュリティ強靭化事業【28億円(24億円)】
➢ サイバーセキュリティ経済基盤構築事業【22億円(20億円)】
➢ サプライチェーン・中小企業サイバーセキュリティ対策促進事業【2億円(新規)】
➢ 独立行政法人情報処理推進機構運営費交付金【69億円の内数(70億円の内数)】(再掲)

増額するAIに関する概算要求

チップ、そして省エネAI半導体、そして、新規に生成AIに係る情報処理基盤産業振興事業など、AIに関する概算要求は、再掲しますが、以下のとおり増額していることが伺えます。

➢ チップレット設計基盤構築に向けた技術開発事業【20億円(5億円)】
➢ 省エネAI半導体及びシステムに関する技術開発事業【50億円(34億円)】(エネ特)
➢ 生成AIに係る情報処理基盤産業振興事業【4億円(新規)】

まとめ

生成AIが今後大きく進展していくと、データは加速度的に増加し、膨大な電力を消費することになります。それらを支えるチップレットや省エネAI半導体などの情報基盤の位置付けは、国際競争力や経済安全保障などの観点からもますます重要となっていくでしょう。

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