フィジカルインターネットの実現に向けた取組の進捗について
経済産業省は2023年6月13日、「2023年度第1回 フィジカルインターネット実現会議」を開催しました。
今回はこの中から、フィジカルインターネットの実現に向けた取組の進捗についてとりあげたいと思います。
まず、最初にフィジカルインターネットの実現に向けたロードマップのイメージで、完成時期は2036年ごろからをイメージしています。
出典:2023年度第1回 フィジカルインターネット実現会議 2023.6
物流業界において大きな課題となっているのが、「物流の2024年問題」等への対応です。
トラックドライバーの長時間労働是正のため、2024年度からトラックドライバーに時間外労働の上限規制(年960時間)が適用。されます。
物流効率化に取り組まなかった場合、労働力不足による物流需給がさらに逼迫するおそれがあり、コロナ前の2019年比で最大14.2%(4.0億トン)の輸送能力不足※が起こると試算されています(物流の2024年問題)。
さらには、2030年には、34.1%(9.4億トン)の輸送能力不足※が懸念されています。
こういった状況の中、荷主、事業者、一般消費者が一体となって我が国の物流を支える環境整備について、関係行政機関の緊密な連携の下、政府一体となって総合的な検討を行うため、令和5年3月31日に「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」を設置しています。
同年6月2日に第2回を実施し、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容について、抜本的・総合的な対策をまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」を決定しています。
出典:2023年度第1回 フィジカルインターネット実現会議 2023.6
フィジカルインターネットの実現に向けては、さまざまな実証の取り組みを行っており、「物流・商流データプラットフォーム」に関する取組では、SIPスマート物流サービスの展開をしています。
出典:2023年度第1回 フィジカルインターネット実現会議 2023.6
地域でのフィジカルインターネットに向けた取組の進展では、物流課題には地域差・業種差があることを踏まえ、企業や業種の枠を超えたそれぞれの地域レベルでのフィジカルインターネットの実現を国としても後押しすべきとしています。
特に課題が顕著と考えられる北海道を対象に、幅広い荷主・物流の事業者間の問題 意識の共有、情報・意見交換を促す「地域フィジカルインターネット懇談会」を開催。併せて、地域物流の課題や協調の可能性を探るための実態調査も実施していくとしています。
出典:2023年度第1回 フィジカルインターネット実現会議 2023.6
業界でのフィジカルインターネットに向けた取組の進展では、フィジカルインターネット・ロードマップに基づき、業界別ワーキンググループを設置。それぞれのWGにおいて2030年に向けたアクションプランを策定し、2022年度より基本 的な項目の標準化やルール化等に向けた議論を開始しています。
出典:2023年度第1回 フィジカルインターネット実現会議 2023.6