「グレート・リセット」とは何か
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最近、テレビなどで「グレート・リセット」という言葉を耳にするようになっています。
置かれている環境下において、それぞれ解釈はあるかと思いますが、これまで「グレート・リセット」について、議論されてきたことを紹介したいと思います。
スイスの世界経済フォーラムは、2021年1月のダボス会議のテーマを「グレート・リセット」とし、今回の危機を契機に、より公平で、持続可能で、強靱な未来を作るため、経済社会の基盤をリセットする必要があると主張しています。
議論のポイントは以下のとおりとなります。
1.公平性の確保
- 今回の危機は、社会の結束、機会の不平等、包摂性の観点で、古いシステムが持続可能でないことを明らかにした
- グレート・リセットにより、全ての人間の尊厳が尊重される、新たな社会契約を作る必要がある
2.第4次産業革命の加速
- 今回の危機は、第4次産業革命の時代への移行を加速している。
- デジタルやバイオ等の新たな技術が、人間中心であり続け、社会全体に貢献し、全ての人々が公平に利用できるものとする必要がある
3.国際協力の回復
- 今回の危機は、我々がいかに相互に接続しているのかを示した
- 今後50年の課題を解決するための、スマートな国際協力に関する実効的な仕組みを回復しなければならない
4.ステークホルダー資本主義
- 短期から長期志向へ、株主資本主義からステークホルダーとしての責任へと、我々の考え方を変えることが必
- 環境、社会、良いガバナンスを、企業や政府の説明責任の一部としなければならない
出所:未来投資会議 2020.7
Klaus Schwab「Now is the time for a 'great reset' 」(2020年6月3日)では、「グレート・リセット」について、以下のとおりまとめています。
私たちに今必要なのは、資本主義の「グレート・リセット」
- 「グレート・リセット」を追求すべき理由はいくつもあるが、最も差し迫った深刻な理由は、言うまでもなく新型コロナウイルスの感染拡大。パンデミックはまだ終わっておらず、このことは、経済成長、公的債務、雇用、人間の幸福に深刻な長期的影響を及ぼし、さらに、既存の気候や社会課題を悪化させる。こうした危機を放置する事は、新型コロナウイルス感染拡大の危機とともに、さらなる危機を生み、世界は持続可能性、平等性、そしてより脆弱性をさらに低下させることになる。私たちは、経済・社会システムのためのまったく新しい基盤を構築しなければならない。
- 「グレート・リセット」の実現に向け重要な姿勢は3つ。
一つ目は、より公平性のある市場を目指し、かじ取りをしていくこと。この目的のために、政府は「ステークホルダー経済」のための条件を整えるべき
二つ目は、社会や経済が停滞する中で、システムを変革するために新しく拡張された投資プログラムを活用すること
三つ目は、第四次産業革命のイノベーションを活用した上で、公共の利益、特に健康と社会的課題に取り組むこと
出所:第26回 産業構造審議会総会 2020.6
新型コロナウイルスの感染により、経済社会の構造も大きな変化が生じ、経済社会の基盤を一度リセットしていくということの大胆な展開も必要となるかもしれません。
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