「新型コロナウイルス」の企業への影響、上位は「サプライチェーンに支障」、「事業休止による損失」、「消費不振」、「インバウンド低下」
東京商工リサーチは2020年3月9日、「「新型コロナウイルス」の企業への影響 全国ヒアリング調査」を公表しました。
新型コロナウイルスの影響を発生事象別に分類すると、最も高かったのは「サプライチェーンに支障」で、39.0%を占めています。
工業製品から機械、衣類、食品に至るまで、様々な製品を中国に依存する日本企業にとって、中国の生産現場の混乱がもたらすサプライチェーンの寸断は想像以上に深刻となっており、モノが入らず、一気に営業や生産活動の維持が難しくなっている点を指摘しています。
こうしたサプライチェーンのダメージは製造業にとどまらず、
「中国で建材生産がストップし、メーカーに発注しても入荷せず工事が遅延」(建設業)
「住宅部材の調達難で工事が完工できず、引き渡しができない案件が出ている。顧客との契約で損害金を支払う可能性も」(マンション開発)
など、悪影響は建設・不動産にも及んでいます。
続くのが、
「営業や生産活動、イベント中止に伴う受注・売上減」 25.8%
です。
中国の事業拠点の稼働停止により生産や営業を再開できないケースや、国内でも感染防止でイベントやサービスの停止で、売上や受注減に繋がっている点や、多数の人が集まるサービスやイベントは軒並み中止や延期措置が取られ、「展示会の中止が相次いでいる」(生菓子製造ほか)ために商談が進まず、機会損失を招いているとの声も複数あがっています。
このほか
「国内消費不振」13.7%
「インバウンド需要の低下」9.7%
と続き、物販や観光業など、外出抑制で消費マインドの冷え込みを懸念する声も多くなっており、感染拡大に伴い、旅行や会合などの自粛が相次いでおり、インバウンド効果の消失に加え、国内の消費低迷のダブルパンチに繋がる可能性も高まっている点も指摘しています。
出所:東京商工リサーチ 2020.3.9
サプライチェーンの支障や、営業や生産活動、イベント中止に伴う受注・売上減が、新型コロナウイルスの影響で長引くことになれば、日本経済への影響は計り知れません。
新型コロナウイルスへの拡大を抑え、どう経済の立て直しを図っていくか、政府は企業は難しい舵取りを迫られています。