急成長するドローンビジネス、2025年度は6427億円へと成長。サービス市場が2019年度の約7.3倍に
インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は2020年3月17日、新産業調査レポート『ドローンビジネス調査報告書2020』を、2020年3月26日(木)に発売します。
2019年度の国内のドローンビジネス市場規模は前年度比51%増の1409億円、産業に特化した機体やソリューションの増加と提供により2025年度は6427億円へと成長
本調査によると、2019年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は1409億円と推測され、2018年度の931億円から478億円増加しています(前年度比51%増)。
2020年度には前年度比37%増の1932億円に拡大し、2025年度には6427億円(2019年度の約4.6倍)に達すると予測しています。
国内のドローンビジネス市場規模の予測
出所:インプレス総合研究所 2020.3
分野別では、2019年度はサービス市場が前年比68%増の609億円で、昨年同様に最も規模の大きい市場となっています。
機体市場は前年度比37%増の475億円、周辺サービス市場が前年度比46%増の326億円です。
各市場とも今後も拡大が見込まれており、2025年度においては、サービス市場が4426億円(2019年度の約7.3倍)、機体市場が1229億円(2019年度の約2.6倍)、周辺サービス市場が771億円(2019年度の約2.4倍)に達すると予測しています。
機体市場は、国内および海外メーカーから、農薬散布やセンシング、点検、運搬など用途にあわせた産業用機体が発売されており、特に農薬散布機の普及が始まっています。
2020年度は、非GPS環境下で活用される小型機や運搬などに活用される大型機の活用が進むことが予想され、産業機の種類が増えていくとみられます。また、防災関係機関によるドローンの導入がより一層進むことが予想されます。
サービス市場は、2020年度後半には、総務省の制度変更により携帯電話の上空利用が急速に進むことが見込まれ、今後はドローンで取得した映像などのデータを、リアルタイムに利用者側に届けることができるメリットを生かし、点検などの分野での利用が進むことが見込まれています。
また、物流や広域警備などの長距離飛行が求められる分野で、携帯電話ネットワークを利用したドローンによるサービスの伸びも期待されています。
サービス市場を産業分野別にみると、特にインフラや設備点検の現場でドローンが普及していくと予測しています。橋梁、鉄塔、基地局、発電施設、プラント、工場やビル、船舶といった点検対象となる構造物に対して、ドローン活用の効果が明確になってきています。
こうした状況をうけて、ドローンのサービス事業者からソリューションが提供されていくとみられ、インフラや設備点検分野の利用が拡大していくことが予想しています。
また、非GPS環境下でも安定的な飛行が可能となった小型のドローンの開発が進んだことにより、プラントや工場の屋内、鉄道トンネルといった環境でもドローンを活用した点検が行われていくことが予想されます。
これらの小型ドローンは、従来の人による点検が困難であった天井や屋根裏空間、細い配管ダクトの中の点検を可能にし、ドローンが専門的に行う新たな点検分野市場を開拓していく可能性があるとしています。
周辺サービス市場では、ドローンの産業利用が進むにつれて、バッテリー等の消耗品や定期的なメンテナンス、業務環境に即した保険のバリエーションの増加などにより機体市場の拡大に合わせて引き続き成長していくと推測しています。
今後、導入が予想される免許制の動きに伴い、スクールの動きも活発になるとみられます。各ユーザー企業における運用管理やソフトウェア開発などのドローンに特化した人材の要求が高まっており人材サービス市場の拡大も予想しています。
サービス市場の分野別市場規模
出所:インプレス総合研究所 2020.3