ガートナーの2020年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10で示す「ヒューマン・オーグメンテーション (人間の拡張)」
米調査会社のガートナーは、2019年10月21日、企業や組織にとって重要なインパクトを持つ「戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」の2020年版を発表しました。
2020年に注目すべき戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10は、次のとおりです。
- ハイパーオートメーション
- マルチエクスペリエンス
- 専門性の民主化
- ヒューマン・オーグメンテーション (人間の拡張)
- 透明性とトレーサビリティ
- エッジ機能の拡張
- 分散型クラウド
- 自律的なモノ
- 実用的なブロックチェーン
- AIのセキュリティ
今回はこの中から、「ヒューマン・オーグメンテーション (人間の拡張)」についてとりあげたいと思います。
ガートナーでは、「ヒューマン・オーグメンテーション」について
ヒューマン・オーグメンテーションでは、人の体験に欠かせない身体と認知に関する要素を改善するためにテクノロジを利用する方法を模索します。身体の拡張では、ウェアラブル・デバイスなどのテクノロジ要素を身体に装着または移植することで本来の身体能力を変化させ、人を強化します。認知の拡張は、従来のコンピュータ・システム上で情報にアクセスしてアプリケーションを活用したり、スマート・スペースで新しいマルチエクスペリエンス・インタフェースを利用したりすることで実現します。今後10年間で、人が個人の強化を模索するにつれて、身体と認知のヒューマン・オーグメンテーションは高度化し、普及が進むでしょう。これによって新たな「コンシューマライゼーション」効果が生じ、従業員が個人の強化や拡張を通じて職場環境の改善を図るようになります。
と整理しています。
「ヒューマン・オーグメンテーション」とは、人間と機械が一体化して人間の身体能力を拡張させるテクノロジーと定義し、以下の拡張技術で整理をしてみました。
- Physical <身体能力の拡張> :ウエアラブルロボットスーツ 等
- Presence<存在の拡張> :VR( VIrtual Reality:バーチャルリアリティ)/AR(Augmented Reality:拡張現実)等
- Perception<知覚の拡張> :BMI(Brain Machine Interface)/マインドアップローディング 等
- Cognition<認知能力の拡張>:機械学習サービス 等
たとえば、
Presence<存在の拡張> は、
人間の五感のうち、視覚と聴覚から構成され、VRやARによる仮想空間を通じて情報が生み出され、そこからビジネスが創造されるようになっています。
Perception<知覚の拡張>は、
究極の世界は Brain Based Computingの世界です。BMI(Brain Machine Interface)は、脳情報を通じて、機械とをつなぐインターフェイスです。マインドアップローディングは、脳(意識)の状態を デジタルデータとして保存して、クラウド上にアップロードするという概念です。
人間は感性を持っていますが、機械は想像を遥かに超えるテクノロジーを持っています。これにより、脳が価値となり対価となる頭脳資本経済の時代が到来し、頭脳を勉強のみならず、テクノロジーを駆使して拡張できるかが、ポイントとなるでしょう。人間の身体と機械の融合が進み、人間の身体の制約を超えることができれば、これまでにない創造性を人間は、手に入れることも不可能ではありません。これらを実現するには、バイオテクノロジーやナノテクノロジーなども含め、複合型のテクノロジーモデルが重要となっていくでしょう。