国内エンタープライズストレージシステム市場はSoE/SoIのクラウド化が成長
調査会社の IDC Japan は2019年7月9日、「国内エンタープライズストレージシステム市場のシステムタイプ別予測」を発表しました。
IDCではエンタープライズストレージシステムタイプを
「SoR(Systems of Record)」
「SoE(Systems of Engagement)」
「SoI(Systems of Insight)」
「システム基盤プラットフォーム」
「機器/装置制御システム」
の5つに分類し、「SoR」と、「SoE」および「SoI」を合算した「SoE/SoI」、および「システム基盤プラットフォーム」と「機器/装置制御システム」を合算した「Other」の3つのカテゴリーについて、エンタープライズストレージシステム市場の予測値を提供しています。
エンタープライズストレージシステムタイプ別予測の対象となったエンタープライズストレージシステムの2018年の国内市場の支出額は前年比4.2%増の1,808億6,100万円となっています。システムタイプ別の支出額を見ると、SoRが前年比1.6%減の869億8,500万円、SoE/SoIが同13.9%増の270億2,900万円、Otherが同8.9%増の668億4,800万円となっています。
市場全体の支出額は2023年で1,779億1,900万円と予測され、2018年~2023年の5年間における年間平均成長率はマイナス0.3%と予測となっています。システムタイプ別の2023年の規模は、SoRが891億4,700万円でCAGRは0.5%、SoE/SoIが314億8,100万円で同3.1%、Otherが572億9,100万円でマイナス3.0%です。
出所:IDC Japan 2019.7
国内エンタープライズストレージシステム市場では、SoRに比べて、SoE/SoIのクラウド化(パブリッククラウド、プライベートクラウド)が進むと見込んでます。SoRは主にビジネストランザクションの記録に関わるシステム、SoEは顧客エンゲージメントを強化するためのシステム、SoIはデータの分析を通してインサイトを得るためのシステムです。
SoE/SoIでは、クラウドが持つ俊敏性、柔軟性、拡張性などの特徴がより強く求められ、2023年における国内エンタープライズストレージシステムのクラウド比率は、SoR向けでは22.4%に留まりますが、SoE/SoI向けでは41.4%に達すると予測しています。
SoE向けでは、俊敏性、柔軟性、拡張性に対する要求が高く、外付型エンタープライズストレージシステムとx86サーバーをベースとしたSoftware-Defined Storage(SDS)との競合が激しくなるとしています。
SoI向けでは、アナリティクス処理を支援するため高パフォーマンス、低レイテンシー、広帯域といった特徴を持ったストレージインフラ(NVMe over FabricなどのNVMe技術を採用したオールフラッシュアレイなど)に対するニーズが高まると予想しています。
SDSが国内外付型エンタープライズストレージシステムに与える影響は大きくなり、外付型エンタープライズストレージシステムにとっては成長機会が高いプライベートクラウドの分野でSDSと差別化し、ビジネス機会を獲得し続ける製品戦略と販売戦略が求められていると分析しています。