ブロックチェーン技術を活用したシステムの評価軸ver1.0
経済産業省は2017年3月29日、IoTを含む非常に幅広い分野への応用が期待されているブロックチェーン技術に関する「ブロックチェーン技術を活用したシステムの評価軸ver1.0」を策定し、公表しています。
今回の評価軸の背景には、ブロックチェーン技術は、従来システムに比べて『改ざんが極めて困難』であり、『実質ゼロ・ダウンタイム』なシステムを『安価』に構築可能であるという特性から、IoTを含む非常に幅広い分野への応用が期待されるとしています。
出所:ブロックチェーン技術を活用したシステムの評価軸ver1.0 2017.3.29
一方で、当該技術の特性を正しく評価し、既存のシステムとの比較を可能とする指標・基準が整備されていないために、当該技術への不安感や過度な期待が生じており、結果的に導入が進まないという恐れもあるとしています。一般的にブロックチェーン技術を活用したシステムでは、複数ノードによるコンセンサス形成などブロックチェーン技術の仕組みに由来する特有のトレードオフ関係が存在することから、従来システムと同様の評価ができないことがその一因となっていることを指摘しています。
上記のような問題意識をもとに、従来システムとの比較可能性・網羅性を考慮し、評価項目間のトレードオフを整理した世界初の「ブロックチェーン技術を活用したシステムの評価軸」を策定しています。
出所:ブロックチェーン技術を活用したシステムの評価軸ver1.0 2017.3.29
評価軸の方針では、「ブロックチェーン技術を活用したシステムの特性を適切に表現すること」、「想定される利用シーンにおいて、必要十分な評価項目を極力網羅すること」を目的とし、評価軸を策定しています。
出所:ブロックチェーン技術を活用したシステムの評価軸ver1.0 2017.3.29
主に、既存システムをブロックチェーン技術を活用したシステムに置き換える場合に、既存システムと比較する目的 でシステムベンダーが評価を実施する場合を想定
評価軸の対象範囲は、ブロックチェーンプラットフォームに加え周辺サブシステムを含めたシステム全体となっています。
出所:ブロックチェーン技術を活用したシステムの評価軸ver1.0 2017.3.29
評価軸のプラットフォームの分類では、パブリック型、コンソーシアム型、プ ライベート型のすべてのパターンを網羅するようにしています。
出所:ブロックチェーン技術を活用したシステムの評価軸ver1.0 2017.3.29
そのほか、品質や運用・保守、コストに係る評価軸の構成要素やブロックチェーン技術の特性の反映なども評価軸の検討対象となっています。
今回作成した評価軸では、既存システムをブロックチェーン技術を活用したシステムに置き換える場合の比較評価や、ブロックチェーン技術を活用したシステムの実証試験結果の評価などをあげており、これにより、異なる評価者(システムベンダー)間で評価項目や評価方法が共通化していくことが想定され、評価結果を比較・参照できるようになると期待されるとしています。
ブロックチェーン技術の特性の把握と周知を行うこと
課題解決に関するステイクホルダーによるコンソーシアムの構築
ブロックチェーン技術を活用したシステムを構築する際の要素技術の整理
社会実装のための環境整備(規制・制度の見直し等)
出所:ブロックチェーン技術を活用したシステムの評価軸ver1.0 2017.3.29