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インテリジェントICTとの共存に向けた検討課題

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総務省は2015年6月12日、第5回インテリジェント化が加速するICTの未来像に関する研究会」を開催し、本研究会の報告書案を公表しています。

スクリーンショット 2015-06-21 8.37.39.png
http://www.soumu.go.jp/main_content/000363429.pdf

本報告書には、ICTインテリジェント化の定義、未来社会の像と現在取り組むべき課題、シンギュラリティ、ICTインテリジェント化が社会・経済におよびす影響、インテリジェントICTとの共存に向けた検討課題、開発と社会への導入・活用、インテリジェントICTを前提とした社会・経済への移行促進などがとりあげられています。

インテリジェントICTとの共存に向けた検討課題では、

① インテリジェント ICT 研究・開発に係る原則
② 社会実装に向けた倫理、法律上の課題
③ プライバシー保護の在り方
④ インテリジェント ICT との共存を前提とした社会設計
⑤ インテリジェント ICT が社会・経済に及ぼす影響等の評価

の5つがあげられています。

① インテリジェント ICT 研究・開発に係る原則では、
Isaac Asimov のロボット 3 原則 が参考にし、高度な思考や判断、創造を行う力をもった人工的な知性について、同様の原則を打ち立てることが必要としています。

② 社会実装に向けた倫理、法律上の課題では、
判断能力の高まったインテリジェント ICT にどこまで判断権限を委ねて良いか、また、その判断結果の責任をだれが取るのか、意識や心を持つインテリジェント ICT を作ってよいか、人間の脳機能を含む身体機能をインテリジェント ICT にどこまで代替させてよいか、インテリジェント ICT は人間の意識に対しどこまで働きかけて良いか、など様々な課題の整理が必要になるとしています。

③ プライバシー保護の在り方では、
ICT インテリジェント化の進展に伴ってパーソナルデータの利用が大幅に拡大し、それを前提とした社会システムが構築され中、プライバシー保護はどのようにあるべきかについて、今後、技術革新による QOL 向上とプライバシー確保のバランス、特定企業への集中の是非を含め、幅広い視点からの議論が必要としています。

④ インテリジェント ICT との共存を前提とした社会設計では、
長期的な課題として、インテリジェント ICT による労働の代替が進む結果、人間は今よりも働かなくとも十分なサービスが提供され、社会全体として QOL が向上するのではないかとの見方がある一方で、富の配分を二極化させ、富の再配分が不可避になる可能性を指摘しています。このような資本蓄積が進んだ場合、どのような社会制度がふさわしいのかも議論の対象となりうるとしており、本質的には、インテリジェント ICT と共存する人間とは何か、人間の尊厳とは何か、人間にとって豊かさとは何かという問いに答えていくことの必要性をあげています。

⑤ インテリジェント ICT が社会・経済に及ぼす影響等の評価では、
インテリジェント ICT が社会に与える影響を正しく評価するための「インパクトスタディ」(衝撃度研究)や、インテリジェント ICT に係る「リスクスタディ」(リスク研究)」、インテリジェント ICT の時代において、豊かさをどのように測定などについての評価の検討が必要と指摘しています。

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