エバンジェリストという肩書きで変化を感じた8つのこと
2014年10月から会社の公認として、「エバンジェリスト」という肩書きで業務ができるようになり、社内外のいろんな方々から、
「エバンジェリスト」になって、どうですか?
という質問を投げかけられることが、多くなりました。
エバンジェリストという肩書きがついてから半年以上がたち、自分自身の頭の整理もかねて、本ブログで少しまとめてみたいと思います。
エバンジェリストについては、さまざまな定義や考え方があります。
日本マイクロソフトのエバンジェリストである西脇さんが2010年10月に書かれた『エバンジェリストに必要なもの、それは』の記事では、
お客様やパートナー様に必要とされる最新のテクノロジーをわかりやすく具体的に説明するのが仕事
と紹介しています。
私が所属する会社の公式のページには「エバンジェリスト」のページが設けられており、エバンジェリストについては、
自らの専門ジャンルを中心として、特定の技術やその使われ方などが経営・市場に与える影響について中立的な立場で発信することで、市場自体の活性化・拡大に貢献するとともに、お客さまベネフィットを現状動向や中長期的な技術トレンド・展望を踏まえて、分かりやすくお伝えしていくよう努めています。
という紹介をしています。
私自身は、エバンジェリストという立場で、年間の講演回数など、いくつかの目標値のようなものは設定されていますが、基本は個人の裁量に依存することが多く、自分の本来の業務(広報・宣伝、マーケティングなど)とのバランスをとりながら、合間をみて、伝えることを大切にして、エバンジェリスト活動をしています。
エバンジェリストという肩書きがついて活動してみて、変化を感じたことは、以下の8つです。
1.営業からの大口のお客さまからの同行訪問依頼
社内の営業が大口のお客さまに対して、クラウドを提案する機会も非常に増えてきていることから、お客さまとのエンゲージメント獲得のための同行訪問依頼が増えてきています。
業界の競争が厳しく、お客さま自身も多くのクラウド事業者が提供するサービス内容を勉強されているケースも多いため、通常の自社サービスのメリットを強調する提案パターンでは、お客さまへの入り込みが難しい場合もあります。
そういったケースでは、エバンジェリストが同行し、たとえば、意見交換などの機会を通じて、お客さまからニーズを聞き出し、信頼関係を構築するといったアプローチは一定の高いニーズがあると感じています。
2.大口のお客さまのCIOや情報システム部門長クラスの方からの指名
同じように、営業からでだけでなく、大口のお客さまのCIOや情報システム部門長クラスの方々から、社内にクラウドの導入を推進するために、勉強会開催や導入検討に向けた情報交換などの意見交換の場を指名で依頼されることも増えてきています。
クラウド導入にあたっては、社内で検討すべき項目も多く、また、クラウドを提案する事業者も増えてきていることから、第三者的に中立的に意見交換ができる場のニーズは増えてきていると感じています。
3.営業や関連部門からの案件相談
営業がクラウドを提案する機会も増え、お客さまからクラウドに関する問い合わせも増えていることから、営業やその関連部門の担当が、お客さまがクラウドを導入を検討し、導入を進めていくための、提案やコンサルに向けたシナリオ作りで、支援や意見を求められることが増えてきています。
また、最近では、IoTやインダストリー4.0などのテーマについて、お客さまの関心度も高くなっており、それらの内容を盛り込んだ将来のシナリオづくりも重要になってきていると感じています。
4.社内外からのクラウドに関する講演依頼
これまでは、社外を中心とした講演依頼が多かったのですが、社内(特に地方)の営業部門などからお客さま向けのセミナー講演の依頼が増えてきています。セミナーでは、自社の宣伝だけでなく、社内の人間が中立的な話をする機会を提供することで、より多くのお客さまとの接点を増えてきたように感じています。
5.パートナー企業(候補含む)からの協業の提案や相談
クラウドサービスの展開は、パートナーとの連携によるエコシステムの形成が不可欠ですが、そういったエコシステムに関連する相談や提案をいただく機会も増えてきています。
6.取材や対談の依頼
メディアの方々との接点も増え、「クラウドエバンジェリスト4者対談」といったように、エバンジェリスト向けの取材や対談なども増えてきています。
7.意見や提案の機会
社内外において、意見や提案がほしいという機会をいただくことが増え、それらの意見や提案が尊重され、採用される頻度が増えてきているように感じています。また、自分の所属グループにも積極的に業界の動きなどの情報を積極的に共有するように心がけています。
8.「攻め」から「守り」の業務中心に
数年前までは、お客さまやパートナーを積極的に訪問し、多くのセミナーや団体活動に参加し、いろんな仕掛けをしていくことが重要だと考え、社外にどんどん出ていって、提案をしたり、人脈を構築するなどの「攻め」の姿勢を重視していました。
一方、エバンジェリストの肩書きがついてからは、社内外からの依頼や提案を受けることが極端に多くなり、さまざまな角度から投げられたボールに対して、どのようにボールを受け取るか、優先順位はどのようにするか、といった「守り」に重点を置くようになってきています。
この半年は、自分から仕掛けることは少なくなり、社内にいる時間もかなり多くなっています。「守り」の業務は、自分にとっては、必ずしも得意ではなく理想の状態ではありませんが、しばらくは守備固めをしっかりして、どこかのタイミングで「攻め」に転じることができたらと考えています。
まとめ
西脇さんの著書「エバンジェリストの仕事術」では、
エバンジェリストの究極の目的は自分を売り込むこと
と、書かれています。
伝えていくことを、愚直にしていけば、自分自身のプレゼンスの向上にもつながり、自然とフィードバックも増えてくる
というのを実感しています。
一方、ブログの中では、プラスの部分を中心に書きましたが、社内外からのプレッシャーに直面する機会が増えたり、活動の見える化がうまくできなかったり、同じように活動できる人の横展開ができなかったり、自分はエバンジェリストというタイプではない(スキルがない)のでは?と感じることなど、反省点や課題も山積しています。
そういった状況の中、うまくバランスを考えながら行動し、自分自身の最適解を見出し、前進していきたいと感じているところです。