ロボット白書2014(2)ロボットとは何か?
「ロボット白書2014」では、ロボット及びロボット技術の定義として、
ある対象について、それをロボット政策研究会での定義に矛盾しない程度に『ロボット』あるいは『ロボット技術』を取り入れたシステムとしてのロボットやロボット化された装置と捉えることで、当該ロボットに関心を持つもの同士の情報交換、連携活動が促進され、それにより当該対象がより発展し、その製品化、事業化、サービス産業等への展開、公共部門も含む社会実装等に結びつくことが期待される工学的製作物及び当該物の製作と、製造業分野はもとよりサービス業分野さらにはロボット化することで価値創造が可能となるあらゆる分野での利用に関わる中心技術をロボット及びロボット技術と定義する
としています。
ロボットの代表的な事例として、ロボットスーツや災害対応ロボットなど6つの事例が示されています。
① ロボットスーツHAL:
介護作業支援やリハビリでの利用を目指したパワースーツである。最近CEマークを取得、ドイツでの労災保険対象となるなど現場活用の見通しが高まっている。② 掃除用ロボット ロボハイター:
オフィスビルの掃除ビジネスで、サービスロボットの商用化・事業モデルを構築、実導入にこぎつけた数少ない事例である。サービスロボットのビジネスモデルの手本とされている。③ セラピーロボット パロ:
セラピー用ロボットのさきがけとして医療介護での実用化を目指している。デンマークや米国で実績をあげつつある。④ 災害対応ロボット Quince:
レスキュー向けロボットとして開発され、福島第一原発で大きな成果をあげたことで災害対応ロボット分野のさきがけとなった。⑤ ロボットカー Google Car:
Googleとスタンフォード大学が共同開発した自律走行可能な自動車である。街中の無人配送を目指している。米国ではこのような自律走行型の自動車の利用が認め始められており、新産業となることが期待されている。⑥ 病院丸ごとロボット化:
ロボット単体ではなく、病院内の業務分析やコンサルティング、システムソリューションとして、ロボット及びインフラの統合導入を実現したもので、ロボット事業の新しいビジネスモデルとして注目される。
ロボットの活用分野は、工場などの従来の産業現場から、危険環境下での作業代行、さらには、日常生活支援に向け広がりが期待されています。
外界との相互作用をもつ知能ロボットとしての新しい世代となる「実世界コンピューティング」の発展に伴い、たとえば、日常生活の支援では、脳の外化により人の思考・記憶能力の拡張に加え、人の身体能力を補完拡張するためにロボット技術の使用により、超高齢社会における社会のバリアフリー化、個人の能動的活動を支援することが期待されています。
2025年における生活支援ロボットの利用シーンも示しています。汎用自立支援、食事支援、排泄支援、離床・着替え補助・清拭支援、健康・医療管理などの支援業務が想定されています。
ロボット白書2014(1)ロボット技術による社会的課題解決とビジネス創造 2014.7.28