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IaaSからPaaSへとシフトするパブリッククラウド市場動向の行方

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2012年以降もクラウドの市場およびモバイルを中心とした市場は成長が期待されます。

2015年には1000億円規模を超える国内PaaS市場

調査会社IDC Japanは2012年5月8日、「国内パブリッククラウドサービス市場予測」を発表しました。2011年の市場規模は前年比45.9%増の662億円で、2016年の市場規模は2011年比5.2倍の3412億円になると予測しています(関連記事)。

 

特に注目されるのはPaaS市場です。2015年には1000億円規模を超え、国内パブリッククラウドサービス市場で最大規模のセグメントになると予測しています。

クラウドのオープン化がPaaS市場を後押し

IaaSからPaaSへ――クラウド・プロバイダーのポートフォリオ拡充の動き(2012.5.9) 」のComputerworldの記事では、

多くのクラウド・プロバイダーをPaaS提供に向かわせる最大の要因は、強まりつつある顧客のデマンドだろう(中略)顧客はクラウド上でアプリケーションの設計、開発、展開を完全に実行できるようになるため、オンプレミスのITリソースに対するニーズが軽減されると同時に、サービスの拡大に対応できるスケーラブルなコンピューティング・リソースが提供されることになる。

IaaSがコモディティ化が進み、ユーザのニーズは上位レイヤにシフトしていきます。その中でも注目されるのが、マルチ言語やマルチ開発プラットフォームに対応したオープンソースのPaaS基盤の台頭です。

例えば、米国AT&Tは昨年(2011年)11月、LongJumpのプラットフォーム・サービスを合併している。また、米国VMwareは昨年 4月より、Java向けの「Spring Framework」、Ruby向けの「Ruby on Rails」などのアプリケーション・フレームワークに対応したPaaS「Cloud Foundry」を提供している。

さらに、IaaSとPaaSの連携も進んでいくことが予想され、オープンソースのIaaS基盤のOpenStack上でのCloud Foundry等の対応も紹介されています。

オープンソースのIaaS「OpenStack」開発プロジェクトを牽引する1社、Piston Cloud Computingは今年(2012年)4月、OpenStack上でCloud Foundryを稼働させるためのパートナーシップをVMwareと締結し、将来的にはOpenStackでVMwareベースのプロジェクトをサポートすると発表している。

Cloud Foundryは、国内では2012年2月24日、NTTとNTTコミュニケーションズが発起人となり、「日本Cloud Foundryグループ」を設立しています。

また、米Red Hatは2012年4月30日にオープンソースの PaaS 基盤ソフトウエアの「OpenShift」をオープンソースとして提供を開始しています(関連記事)。

オープンソースのPaaS基盤ソフトウエアでは、当面、Cloud FoundryとOpenShiftが台風の目になると予想されます。

先日、TechTargetジャパンに「オープンソースのPaaSはなぜ注目されるのか ~Open PaaSの魅力と課題」の記事を寄稿させていただきましたが、2012年はOpen PaaSを採用したクラウドサービスの登場が予想され、Windwow Azureなどに代表される垂直統合型のProprietary PaaS等との市場競争の動向が注目されます。

PaaSレイヤにもサービスを強化するAWS

一方、IaaSの市場で、圧倒的なシェアを誇っているAmazon Web Service(AWS)もPaaSの分野でのサービスを強化しています。AWSは2012年5月9日、PaaSの「AWS Elastic Beanstalk」が、マイクロソフトの「.NET」に対応したことを発表し、東京リージョンでも提供しています(関連記事)。

これにより、ASP.NETアプリケーションをAWSにアップロードし、公開・運用することが可能となります。Elastic Beanstalkは、EC2を利用していれば、追加料金なしで利用することができるのも大きなメリットとなるでしょう。

ニフティクラウドがPaaS分野に参入へ

国内におけるIaaS事業者のPaaS分野への参入も始まっています。ニフティクラウドは、「第3回クラウドコンピューティングEXPO春」において、「ニフティクラウドC4SA」を展示しており、5月中旬から下旬から提供予定となっています。

C4SAは、国内のベンチャー企業のリアルグローブ社が開発するPaaSでしたが、今後、説明員の話によると、「ニフティクラウドC4SA」ブランドで提供していくとのことです。


クラウドコンピューティングEXPO ニフティーブース写真

現在、対応言語は、PHPとRubyのみとなっていますが、Node.jsやPhyson、Javaに対応し、フレームワークも今後Ruby on Railsなどの複数対応予定となっています。PaaSレイヤは海外勢がシェアを伸ばしている中で、国内ベンチャー企業の開発力とニフティクラウドがどこまで融合し、サービス競争力を発揮できるか、動向が注目されます。

マルチ言語とマルチ開発フレームワーク対応がPaaS市場成長を牽引

PaaSレイヤは、「主要PaaSの機能と、ユーザーの開発トレンドを解説」の記事でPaaS機能の比較表をご紹介させていただきましたが、多くは、マルチ言語、マルチ開発フレームワーク、そしてマルチデータベースに対応しています。マルチへの対応が、PaaSレイヤでは大きなトレンドとなっていくでしょう。

 

PaaSのビジネスモデルと市場の行方

IaaSレイヤーのサービスでは、CPUやメモリなどの単位で課金がある程度決まっており、事業者同士で比較的比較がしやすかったのですが、PaaSレイヤは、サービスによっては、課金体系やビジネスモデルも大きく異なっています。

 

 

PaaSレイヤでサービスを提供する事業者が、どういった形で収益をあげていくのか、そして、ユーザにとって比較しやすい料金体系となるのか。IaaSと比べ、ビジネスモデルや収益モデルが多岐にわたっており、どのような形態がデファクト化していくのか、そして、どのようなマーケットに導入が進んでいくのか、見極めやタイミングが、難しい状況ではないかと思います。

いずれにしても、PaaS市場はこれから主戦場として、様々なサービスの登場が予想されます。IDCが予測するように、2015年はIaaSを超えるパブリッククラウドサービス市場での最大規模のセグメントとなるのか、2012年の動向が今後の市場成長を占う上でも重要な年になるのではないかと考えています。


オープンクラウド入門 CloudStack、OpenStack、OpenFlow、激化するクラウドの覇権争い (Next Publishing(Cloudシリーズ))

 

※担当キュレーター「わんとぴ」 

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