2012年の注目するPaaSは?「2011年クラウド業界を振り返る ~IaaSの発展、混沌としたPaaS業界の行方」から
先日、クラウド座談会参加し、記事「クラウドガバナンス座談会【前編】2011年クラウド業界を振り返る ~IaaSの発展、混沌としたPaaS業界の行方」が掲載されました。
モデレーター
荒井康宏氏 一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA)理事。「オープンクラウドキャンパス」事務局長。さまざまな活動を通して企業と個人におけるクラウドの利用促進と普及に努めており、クラウド事業者や利用者への技術支援も行っている。
パネリスト(50音順)
渥美俊英氏 電通国際情報サービス クラウドエバンジェリスト。90年代からインターネットバンキング、電子認証、セキュリティの技術開発を担当。最近は、業務システムのクラウド利用を推進中。オープンソースビジネス推進協議会(OBCI)副理事長、NPO法人Seasarファウンデーション理事。
大井哲也氏 TMI総合法律事務所 弁護士。IT関連や国際企業取引などを専門に、セミナー、執筆など多方面で活動。東京弁護士会、経営法曹会議、ISMS認証機関公平性委員会委員、クラウド利用促進機構 法律アドバイザー。
加藤 章氏 電通国際情報サービス ビジネス統括本部 クラウド事業推進センタ クラウドストラテジスト。クラウドに軸足を置いて調査、企画、情報発信、営業支援および社外とのアライアンスを担当する。連載「企業向けシステムを構築するパブリッククラウド」を担当。
川田大輔氏 連載「クラウドガバナンス現在進行形」筆者。Cloud Architect。18年にわたり大手ソフトウェア/ハードウェアメーカーでのマーケティング、ITベンチャーでの事業開発、技術開発、技術投資業務を経験し、2009年より現職。
河野省二氏 ディアイティ セキュリティサービス事業部 副事業部長。情報セキュリティ専門家。経済産業省の「クラウドサービス利用のための情報セキュリティマネジメントガイドライン」の作成に従事。
寺田眞治氏 オプト海外事業本部 北京欧芙特信息科技有限公司董事長。新聞社・メーカーのハウスエージェンシー、携帯コンテンツのサイバードの共同設立、三菱商事、インデックス執行役員を経て現職。総務省の各種委員、業界団体の役員などを歴任。総務省の「ライフログ活用サービスにおける配慮原則」作成に参画。
林 雅之氏 国際大学GLOCOM客員研究員。ICT企業勤務。クラウドサービスの開発企画やマーケティングなどを担当。クラウド利用促進機構 総合アドバイザー。連載「エンタープライズクラウドを定義する」を担当。
注目するPaaSは?に対して、以下のとおりコメントをさせていただきました。
林 市場動向を見ると、インターネット上でソーシャルアプリ、スマートフォン系のトラフィックがかなり増えていることがうかがえます。もはやIaaSで一からサービスを構築し提供していては追い付けない状況です。RubyやJava、PHPなどの開発フレームワークを使いながらPaaS上で開発する動きは今後伸びていくといえます。
個々のサービスでは、これまではWindows Azure Platform、Google App Engine(GAE)、Force.comといったPaaSが注目されいましたが、2011年後半から流れが変わってきています。1つは、Cloud FoundryやOpenShiftといったオープンソースのPaaSが台頭してきたことです。もう1つは、日本の事業者であるIIJやサイボウズ、リアルグローブなどからもPaaSが登場したことです。ユーザーにとって、これまでの実績があるサービスか、オープンソースか、日系企業のサービスかといった選択肢が増え、その意味で今のPaaS業界はかなり混沌としているといえるでしょう。そして、混沌としている理由の1つには、PaaSのビジネスモデルが確立されていないことがあると思います。ビジネスモデルを確立できた事業者がシェアを伸ばしていくのではと考えます。
ただし米国市場では、Evans Data調査によるとCloud FoundryがGAEを押さえて開発者の間で全米1位の評価を受けています。また、CUPAの「オープンクラウドキャンパス」で実施したアンケート結果でも、PaaSのベンダーロックインを嫌う回答が多く見られたことから、今後日本でもPaaSのオープンソース化の流れは強くなると考えています。
IaaSレイヤの市場においては、市場の構図はある程度固まってきましたが、2012年は、OpenStackやCloudStackなどに代表されるように、クラウドのオープン化が進展していくことが予想されます。PaaSレイヤにおいても、市場における競争環境が混沌としている中で、2012年はCloud Foundryなどのオープンソースが注目される年になっていくと考えています。
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