ソーシャルメディアと個人としての「7つのシンクタンク力」
3年以上前のブログ「ビジネスパーソンが「個人シンクタンク」を意識する時代」でもご紹介させていただきましたが、田坂広志著『プロフェッショナル進化論 「個人シンクタンク」の時代が始まる』は、今読んでも色あせていない情報が詰まっています。
これから、すべてのプロフェッショナルが「シンクタンク機能」を持てるようになる。
その結果、すべてのプロフェッショナルは、「個人シンクタンク」へと進化していく。
なぜ、個人でも「シンクタンク機能」をもてるか?という点に関しては、
「衆知創発革命」への進化により、 一人でも多くの知恵を集め、 新たな知恵を生み出せるようになった。
「主客融合革命」への進化により、これまでの「情報発信者(主)」と「情報受信者(客)」の区別がなくなり、その二つが融合し、容易に「ムーブメント(共鳴行動)」が起こるようになった。
「感性共有革命」への進化により、 単に世の中に「ナレッジ」を伝えるだけでなく、 世の中に「感動」や「感情」、「感覚」や「感性」を伝えることができるようになった。
個人が「7つのシンクタンク力」を持つことが全てのプロフェッショナルに求められるのは以下の7つがあげられています。
- 必要な情報や知識を集め、分析・統合する力 「インテリジェンス力」
- 人々の知恵を集め新たな智恵を生み出す力 「コミュニティ力」
- これから何が起こるかの未来を予見する力 「フォーサイト力」
- これから何を目指すのかのビジョンを提示する力 「ビジョン力」
- これから何を為すべきかのコンセプトを提案する力 「コンセプト力」
- 未来予見、ビジョン、コンセプトを広く伝える力 「メッセージ力」
- ビジョンとコンセプトにより変革の動きを生み出す力 「ムーブメント力」
ここで、私はブログやツイッターなどのソーシャルメディアを活用することが、個人シンクタンクに近づくための近道であると考えています。
「インテリジェンス力」を鍛えるには、ブログが有効です。ブログで情報発信するためには、情報収集をし、分析・統合する力が求められます。特に、私のように、毎日IT関連をテーマに情報発信をすることになれば、発信と収集・分析・統合のサイクルが生まれ、自然と「インテリジェンス力」が鍛えられることになります。
「コミュニティ力」を鍛えるには、もちろん、オフラインでのコミュニケーションは重要ですが、ツイッターやフェースブックなどのリアルタイムWebを使い、コミュニケーションをとっていくことは重要だと考えています。これまで、なかなか接触できなかった有識者とも情報交換ができ、人脈形成に大きく役立つといえるでしょう。
「フォーサイト力」については、まず、ブログが有効であると考えています。私自身、これまでのブログの中で、地域ツイッターは3年以上前、クラウドは2年以上前、郊外型データセンターは1年以上前から、取り上げてきました。人より早く取り上げることによって、上記の3つはすべて新聞や雑誌の取材を受け、講演などをさせていただく機会もいただきました。もちろん、予測がはずれることもありますが、ブログなどのソーシャルメディアを使い、早くから情報発信をし、先行者利益を得るというアプローチは重要だと考えています。
「コンセプト力」も、ブログが有効です。私自身、ブログの中で、クラウドと情報通信政策を柱に、電子書籍やモバイル、スマートグリッド、そして、地域・教育、ソーシャルメディアなどをとりあげています。ブログの投稿については、自分なりのポリシーとコンセプトをもって投稿しています。ブログの中では全体のストーリーを意識し、提案することを意識しています。
「メッセージ力」はブログとツイッターの相乗効果が有効だと考えています。ブログで自分の考え方の詳細を伝え、ツイッターで意見を求め、情報交換をする。特に、ツイッターの場合はバイラルが生まれ、メッセージは広く伝えることができます。ブログとツイッタを双方うまく使いこなすことによって、未来予見、ビジョン、コンセプトを広く伝える力が身についていくと感じています。
そして、最後の「ムーブメント力」ですが、「メッセージ力」と同様にブログとツイッターの相乗効果が大切ですが、ソーシャルメディアというオンラインの世界だけでは限界があります。私自身は、ソーシャルメディアで培った知識や人脈、そして、これらのノウハウを社内に逆輸入をし、外にも展開させることによって、例えば、クラウドにおいては、小さいながらもムーブメントを起こしやすい環境ができつつあると感じています。
以上のように、個人としての「7つのシンクタンク力」を鍛えるためには、ソーシャルメディアが有効であると考え、その中でも最もブログを重視しています。「7つのシンクタンク力」をオンラインの場でソーシャルメディアを使うことによって鍛え、オフラインの場で実践するという流れができれば、ビジネスの世界において、非常に自分の強みになるということを実感しているところです。