マイクロソフトのクラウドビジネスへの転換は、パートナーの転換も必要という話
9月8日、「マイクロソフト パートナー コンファレンス 2010」に参加してきました。
まず、樋口 泰行社長から、「マイクロソフト 2011 年度 経営方針」のお話をお聞きしました。会場の様子は以下のとおりです。本当にたくさんのパートナーやプレスで人が埋まっており、とても盛況でした。マイクロソフトが、いかにパートナーを重要視しているのかが、肌で感じるイベントでした。
樋口社長の口から頻繁に出てきたというのは、「クラウド」という言葉です。クラウドビジネスを推進し、クラウドプレイヤーとして市場の優位にたつため、過去の自社のビジネスモデルと向き合い、創造的破壊をしつつ、大きく変わっていかなければならないという力強さを感じました。
次に、クラウド・プラットフォーム営業本部 本部長 澤 円氏から「お客様にクラウドについて語るとき、我々が語るべきこと」というタイトルで、お話をされました。パートナー会社も含めて「我々」という定義をしており、パートナーとの一体感を強調されていました。
まず、マイクロソフトのクラウド戦略で”クラウド”へのコミットの話をされました。主なコミットメントは、以下のとおりです。
- 全社的クラウドへの移行宣言(2005年)
- 年額$9.58の研究開発投資
- 40,000人の開発者の70%がクラウドソリューションを担当
- 7,000以上のパートナーとの戦略的なエコシステムの整備
一方で、マイクロソフトがクラウドビジネスを推進することは、大きなリスクもはらんでいます。
まずは、SIビジネスの減少です。すべてがクラウド側でバージョンアップされるようになれば、システム更改提案の機会は減少することになるでしょう。同時に、運用管理案件の減少の問題も指摘しています。月額での定期的な収入が見込めるだけに、大きな痛手となります。そして、収益の柱でもあるライセンス商談の減少です。このように、既存のビジネスとのカニバリゼーションをどのように乗り越えていくことが大きな命題となります。
一方、クラウドビジネスのビジネス機会についても述べられていました。期間の短いシステム構築案件の創出、H/Wの初期不良などのリスク軽減、新規ビジネスのシェア獲得など、です。
マイクロソフトのクラウドビジネスへの転換は、「持続的イノベーション」なのか、それとも、「破壊的イノベーション」なのか、意見が分かれるところでしょう。いずれにしても、既存のビジネスとのカニバリゼーションの中で、どうやって事業を伸ばしていくか、今後の展開が注目されます。
次に、バンテック株式会社のExchange Online、Windows Azureの導入事例が紹介されました。実際に、執行役員の方が登壇され、メールを中心としたクラウドへの移行メリットやマイクロソフトを選定した理由などについて語られました。
最後に、パートナー会社に、どのようなキーワードを使い、エンドユーザに対して提案をしていけばいいのかというポイントを説明されていました。キーワードは次のとおりです。「データセンター」「稼働率」「データストア」「散在した拠点」「コスト」「今、すぐに」の6つです。
後半のプログラムは、残念ながら、参加できませんでした。
以上のように、マイクロソフトはクラウドビジネスに大きく転換しようとしています。同様に、7,000以上のパートナー企業もこれまでのライセンスビジネスだけでなく、クラウドビジネスへのシフトと新たな市場の開拓が求められていくことでしょう。マイクロソフトがこの先どのように、パートナーと連携しながらクラウドビジネスを展開していくか、今後の展開が注目されます。