国産クラウドの台頭
クラウドコンピューティングといえば、これまでSalesforceやGoogle、そしてAmazon等の海外勢のIT企業を思い浮かべますが、今年度になってから、国内のIT企業のクラウドビジネスの展開が目立つようになってきました。
6月30日には、日立製作所が、クラウドサービスブランドの「Harmonious Cloud」を発表し、「ビジネスPaaSソリューション」を中心に「ビジネスSaaSソリューション」、「プライベートクラウドソリューション」、というサービスランナップとなっています。「ビジネスPaaSソリューション」は、2009年の7月末にサービス提供を開始し、10月以降に強化を実施するとしています。日立製作所は、2011年に1000億円を見込んでいます(関連記事)。
また、NECはこれまでのブログでも紹介しましたが、「クラウド指向サービスプラットフォームソリューション」を提供することを発表しています。NECの特徴は、SaaS型、共同利用型、個別対応型の3つのパターンを用意しています。クラウドサービスの提案や構築などができる人材を1万人規模(これまでの2倍)拡大していく計画をたてています。富士通は、3年以内に年間1000億円を見込んでいます。
富士通においては、「Trusted- Service Platform」を10月に開始する予定をたてています。館林システムセンターでは、1000台以上のクラウド向けサーバーを用意し、サーバやストレージを数十万規模でサービス提供するとしています。そして、「クラウドセキュリティセンター」も立ち上げ、企業分野だけでなく医療や農業等公共分野にもクラウドビジネスを拡大していく方針をたてています。また、6月22日に、クラウドコンピューティング関連事業のビジネスを推進していくために常務取締役以上で構成する経営会議の直轄組織となる「ソリューションビジネスモデル変革準備室」を新設しています。富士通は、3年で3000億円を見込んでいます。
その他、日本ユニシスは「SaaS BusinessPark」を中心にクラウドビジネスの展開を図っています。NTTグループにおいては、まだクラウドというキーワードは戦略としては明確に使っていませんが、「SaaS over NGN」を中心にサービス展開を図っています。
以上のように国内における大手のIT企業もクラウドビジネスを本格化していることが伺えます。国産クラウドが海外勢とどのような競合を繰り広げていくのか、スカイコンピューティング戦争から目が離せません。