企業ユーザは「Exchange Online」と「Gmail」のどちらを選ぶのか
マイクロソフトが、4月6日、Google Appsに対抗するクラウドサービス「Business Productivity Online Suite(BPOS」の詳細を発表しました。4月中に正式サービスとして提供するとのことです。
BPOSのサービスの内訳は、
- Exchange Online ・・電子メールや会議室の予約など
- SharePoint Online ・・ファイル共有やポータル機能
- Communications Online ・・インスタントメッセージや在籍確認
- Live Meeting ・・Web会議やアプリケーション共有
の4つのサービスで、月額1567円(年間18804円?)となります。
Google Appsの場合はどうでしょうか?
- Gmail
- Googleドキュメント
- Googleカレンダー
- Googleサイト
- Google Video for Business
- Google メッセンジャー
で、年間6,000円程度となります。
サービスのラインナップにおいては、Googleドキュメントといったオフィス系のサービスがGoogle Appsでは使えますが、BPOSではオフィス系のサービスは提供されていません。
単純に比較すると、BPOSはGoogle Appsとかなり類似しており、ボリュームディスカウント等でも変わると思いますが、価格面で3分の1に抑えることができます。しかし、Googleと比べて、Microsoftは、Exchangeをはじめとした企業向けに豊富な実績を持っています。ユーザ側はたとえ費用が高くてもMicrosoftのサービスを選択するといったことは十分に考えられるでしょう。
米Microsoftのビジネス部門担当プレジデントのスティーブン・エロップ氏は以前のインタビューの中で、「将来はExchangeの50%がオンラインになる」とする趣旨のコメントをされており、Exchange Serverの更改時等においてExchange Onlineの導入はこれから選択肢として増えていくことが予想されます。
企業ユーザはこの先、電子メールのクラウド化を検討していくと思われますが、ExchangeとGmailが導入候補の最右翼となるでしょう。BPOSとGoogle Appsにはそれぞれ豊富なサービスを提供していますが、ポイントになるのはやはり電子メールとなるのではないでしょうか。
Exchange Onlineの場合は、既に利用している企業ユーザも多いので、たとえOnlineに移行したとしても違和感なく利用することができるのではないかと思われます。一方、Gmailの場合は、個人で利用しているユーザは違和感なく利用できるかと思いますが、始めて企業の中で利用する場合は、相当戸惑うのではないかと思われます。これまでの電子メールとは使い勝手が違うので、特にWebメールの概念を知らない人にとっては時間がかかるのではないでしょうか。
経済危機がいっそう進む中において、企業はさらなるコスト削減を求められることになるでしょう。もちろん電子メールもコスト削減のための対象となることも考えられます。その場合、コスト優先でさらには検索機能等コンシューマ分野で実績を積んできたGmailを選択するのか、それともこれまでの企業での信頼と実績でExchange Onlineを選択するのか、企業ユーザの置かれている環境によって、選択肢は分かれるでしょう。
この数年間、クラウド型のメールアーカイブサービスでは MicrosoftとGoogleを中心に激しいシェア争いが繰り広げられることが考えられます。特に電子メールは膨大なデータ容量を保有し、利便性を考えるとその他のサービスとの連携も重要となるため、電子メールのアーカイブを握った事業者は非常に大きな影響力を持つことになるでしょう。
MicrosoftのBPOSがどの程度利用者数を伸ばしていくのか注目されるところです。