2015年頃の日本のICTはどうなっているのだろうか?
2008年も2ヶ月弱となりました。次年度以降、世の中のICT環境がどのように変化していくが興味があるところです。
総務省は11月11日、「ICTビジョン懇談会」における検討アジェンダ(案) 」に対する意見募集を発表しています。 「ICTビジョン懇談会」は、2015年頃を展望した総合的なICT政策の方向性(ビジョン)を描くことを目的としています。
これまで政府が発表してきた「u-Japan政策」や「IT新改革戦略」は、2010年年度までを目標年限と設定しており、2010年代初頭の「完全デジタル元年」以降の総合的なICT政策のあり方が未だ検討がされていないようです。
そこで今回、2015年頃までの中期的な市場構造の変化について具体的な展望を描き、それを踏まえた政策課題の抽出や政策ロードマップ策定を行うとしています。
具体的な検討事項として、
日本の強みを活かした中期的な製品・サービス開発力である「ICTファンダメンタルズの強化」をあげ、その施策展開を検討していくことが一つ目の検討事項としてあげています。
二つ目として、「国境を越えた知識情報社会への移行」をあげ、グローバル化の進展に伴い従来以上に強力な「規模の経済」が働く傾向が強まっていくとしています。この中で興味深いのは、「クラウドコンピューティング」の潮流を取り上げ、インターネットを利用した米国発の新事業が急速に台頭し、日本においても新事業を図るためどのような環境を整備していくべきかという点をあげています。
こうした状況が加速化すると、日本の企業経営に必要な情報が国外に蓄積される傾向が強くなる可能性がある点を指摘しています。また、クラウドコンピューティングが普及するにあたって、情報漏えいが発生した場合の対応や経済安全保障の観点から施策を考えていく必要があるとしています。クラウドが進むようになれば、国内の政策やルールは影響度が低くなる可能性があり、日本に情報を誘致する仕組みやグローバルな規模で情報の扱い方に関する法制度(ルール)を考えていく必要が今後高まっていくことになるかもしれません。
また、セマンティックウェブやエージェントなど個人の嗜好にあわせてリコメンド情報を流すなどのよりパーソナル環境が生まれるとしており、その環境整備についても検討をしていく必要があるとしています。
これまで先行型のICTの利活用の取り組みをしてきましたが、導入・普及に至っていないケースが多く見受けられる点を指摘し、今後の改善施策についても検討が必要であるとしています。また、環境や医療や少子高齢化や教育などに対してICTがどのように活用していけばいいかも検討事項としてあげています。
世界有数のブロードバンド回線を活用したコンテンツ配信やアプリケーションの流通の施策も検討していく必要があるとしています。地上デジタル放送への完全以降後の対応も必要となってくるとしています。
こうやって考えると、2010年から2015までの間は、ICTの環境はこれまで以上にさらに大きく変化してきそうな予感がしています。そして、人々のライフスタイルや企業経営やワークスタイルにも大きな変化が起きることになるかもしれまえん。政府は、技術の進歩を追い求めるだけでなく、使えるICTの技術をどのように制度面がサポートし、ユーザ側が使える環境を整備していくかということも重要になっていくことでしょう。