クラウド普及の課題(3) 事業者の信頼性(経営面)
サブプライムローン等の影響によりいくつかの金融機関が破綻したことは記憶に新しいところです。金融商品が複雑化し、どこにリスクがあるのか見極めが難しくなっていたというのも今回の破綻の背景にあります。金融機関に預けた金融資産が破綻により一部もしくは全額戻ってこないというケースもあったことでしょう。クラウドサービスの提供事業者に自社の重要なデータを預けてもどこに今どんなリスクが潜んでいるのかわからなくなることが、大きなリスクになることもあります。
つまり、クラウド型のサービス自体のセキュリティや可用性や信頼性を確認するだけでなく、クラウドサービスを提供する事業者自体の信頼性を事前に評価しておくことも必要となってくるでしょう。企業の規模や調査機関の評価やこれまでの実績、財務状況、株主や取引先などもしっかりと事前に調査し、本当に自社の重要な情報を永続的に預けることができるところなのか確認してくことが重要になってきます。
しかしながら、導入時点に念入りに調査をしたとしても、景気や取り巻く経済の状況は変化し、その当時どんなに信頼できる企業だったとしても数年後もそうであるという保証はありません。万が一の倒産や業務の停止(撤退)に備え、サービス保全の契約やバックアップの条項、そしてデータの回収方法やデータフォー的の移行方法等の対応方法を事前に準備または確認しておくことが重要となってくるでしょう。
また、サービスへのサポート体制も調査しておくことが必要でしょう。障害のトラブルが発生した際に電話やメール等の対応は24時間365日問い合わせができるのか、対象業務の重大な事象が発生した際にのサポート体制を確認しておくことが大切です。
また、万が一、提供者側に不正と思われる行為が発生したときや、データセンター内の監査が必要とされた場合における調査への協力できる体制になっているかの確認も必要でしょう。
クラウドコンピューティング市場は今後数年は市場の成長が予想されていますが、未来永劫続くとは限りません。事業者(他人)にデータを預ける限り、事業者を選ぶにあたっては、様々な視点から十分な確認が必要となってくるでしょう。