2015年のテレビを考える
最近テレビを見る機会は少なくなりました。理由は家族がテレビを見ることを優先している点、そしてテレビよりもインターネットを利用するほうが有意義と感じてきているからです。インターネットで見たいときに必要な情報をピックアップし、そして動画はYouTubeやGyao等のコンテンツを見たいときにアクセスするというスタイルに変わってきています。
しかしながら、これまでパソコンを中心にWeb2.0の潮流が進みましたが、2008年以降はパソコンから、携帯電話そしてテレビにシフトしていくことが予想されます。
今回は、テレビを中心に2008年以降の姿を考えていきたいと思います。
情報通信法(仮称)が昨年12月6日にまとまりました。特に放送分野においては、放送設備と番組制作を一体でできる垂直統合型でしたが、情報通信法により水平分離型の経営形態が求められるようになり、競争を促すというものです。
YouTubeやGyao等の広告収入も伸びてきており、通信と放送の融合が進めば、放送局のテレビ広告費のあり方も大きく変化することが予想されます。
2月5日、野村総合研究所(NRI)は、2015年をターゲットとした国内メディア・コンテンツ産業の変革シナリオを記者向けのセミナーで解説しました(関連記事)。2015年に望まれるテレビの姿として、
- 「ナビゲーション」(検索やレコメンデーション)
- 「オンデマンド視聴」(タイムシフト、ロケーションシフト)
- 「メタ情報の共有」(レーティングの共有)
- 「評価」(評価のフィードバック)
現在、日本ではアクトビラが商用サービスを実施していますが、その進化版としています。
その他に考えられる機能としては、携帯電話との連携や、「放送とソーシャルネットワークの融合」等でご紹介しましたが、リモコン操作をセンシングして、テレビ番組の視聴情報を取得して、他ユーザと今どんなテレビを見ているか等のプレゼンス情報をパソコンや携帯電話でリアルタイムに共有できるサービスもあってもおもしろいでしょう。
これまでは視聴率はサンプル調査のみでしたが、ソーシャルテレビの動きやインターネットでデータを取得できるようになれば、視聴率のあり方も大きく変化することが予想されます。
松下のYouTube対応のテレビの発売が予定されており、テレビで放送局の番組を選ぶかYouTubeのコンテンツを選ぶかという時代もそう遠くはないでしょう。昨年のノキア調査レポート(2007年12月3日)によると、5年以内に25%のエンターテイメントは消費者によりマッシュアップされ、共有されると予想しています。
動画CGMはどこまで占めるかは定かではありませんが、CGMの位置づけはさらに増し、CGCMと呼ばれるような、消費者主導のコマーシャルの動きも活発化していくことが予想されます。
テレビがネットにつながり、ネット対応に対した機能をもつようになれば、Windows Vistaのような共通OSや共通プラットフォームも登場してくるかもしれません。同時に、テレビへのセキュリティ意識も高まり、回線認証や端末認証、そして個人認証等のアクセス制御の技術も整備されていくことも想定されます。
裏を返せば、リビングの主役であるテレビが、パソコン機能を完全に網羅し、さらにテレビ向けにカスタマイズして進化した、お茶の間の主役となるリビング端末に進化していくことが予想されます。
大型薄型テレビの画面の高精細な技術は、ほぼユーザにとって満足できるレベルまできていると思われますので、今後はネットとの融合を前提とした機能面の進化を大いに期待できるのではないかと感じています。