地震発生を事前に通知する「緊急地震速報」の一般向け開始(10月)の効果を考える
7月16日午前10時13分に新潟地域を中心に震度6強の地震が発生しました。死者、負傷者が多数出ており、気象庁は「新潟県中越沖地震」と命名しました。
皆さんは地震が起きるとどのような行動をとりますでしょうか?地震が発生すると同時にあわてて机の下に隠れたり、安全な場所へと移動しようとするでしょう。では、数秒~数十秒後に地震が発生することがわかっていれば、皆さんの行動パターンは変化するのでしょうか?
一般ユーザ向けの緊急地震速報システムとは?
気象庁によると、数十秒~数十秒後に大きな揺れが発生することを通知する「緊急地震速報システム」を10月から一般ユーザでも利用できるようになります。一般ユーザへの情報配信例として、スーパーやホテル等の館内放送や、テレビやラジオ放送そしてガス、電気からの警告音や自動制御等での利用が考えられているようです。
緊急地震速報の仕組み
緊急地震速報システムは、「揺れが弱く伝わる速度の速い「初期微動(P波)」を検知することで、揺れが大きく伝わる速度の遅い「主要動(S波)」の到達時刻を予測、通知するシステム」です。通知までの流れは、日本全国の地震観測網が大きな地震の発生を検知し、気象庁から情報配信事業者(リアルタイム地震速報利用協議会、NTTコミュニケーションズ、ウェザーニュース、携帯電話事業者等)から放送事業者や企業等を経由し、一般ユーザに向けて配信します。一般ユーザが利用する際は、情報配信事業者等と契約し、専用端末や専用のパソコン向けソフトを導入して、設置場所の緯度や経度等を設定しておけば、通知させることができます。
一般ユーザの認知度は?
しかしながら、一般ユーザの認知度は現時点であまり高くなく、また、スーパーやホテルでの利用客への館内放送での周知方法等運用体制の整備も必要になってくると考えています。業界団体や自治体も地震速報を利用した大規模や防災訓練やマニュアル作成等の対応を検討しており、今回の新潟・長野地震を契機に「緊急地震速報」の認知度向上とその運用方法についての議論が深まっていくものと考えています。
地震発生時の情報共有
今後も大規模地震が発生することが予想されますが、情報共有のあり方が大きく変化していくのかもしれません。地震発生前に「緊急地震速報」で情報をいち早く受信し、地震発生後は政府や自治体の正規ルートの情報提供だけでなく、一般ユーザがブログやSNSそしてYouTubeによる動画投稿等で地震の被災状況や物資の供給状況等を情報提供するというケースも増えてくることが考えられます。
ネットで地震の被害を解決できるわけではありませんが、「緊急地震速報」のようにネットを使い地震の被害を少しでも軽減していくという取り組みが今後より注目されていくのかもしれません。