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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

エンバカデロの今に至る開発ツール部門分離の真実 その4

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さて、Borland Developer Conference 2006の方は、キーノートに続いていくつもの技術セッションを実施した。後日マーケティングから出された結果報告によると、総参加者数は300名。午後のセッションに参加した人も、262名に上る。

テックレポート「Global Support Newsletter」によれば、以下のようなセッションを実施している。

  • 『プログラマーの視点から見たUMLモデリング活用術』
    ボーランド株式会社 ALMビジネス本部
    プロダクトマネージャー 後藤 啓
  • 『Java/C++/Delphi開発環境と 要件管理、構成管理・変更管理ツールとの統合』
    ボーランドソフトウェアコーポレーション
    プリンシパルエンジニア ジョン・カスター
  • 『上級モデラーを目指すための実践モデル駆動開発』
    ボーランド株式会社 ALMビジネス本部
    プロダクトマネージャー 後藤 啓
  • 『Delphi C/Sアプリケーションから、 マルチ階層のリモートWebサービスへの移行』
    ボーランドソフトウェアコーポレーション
    デベロッパーリレーション担当副社長 デビッド・インターシモーネ
  • 『ASP.NETによるアプリケーション開発』
    ボーランドソフトウェアコーポレーション
    製品国際化担当マネージャー 新井 正広
  • 『Delphiと.NET Compact Frameworkによる ハンドヘルド、スマートフォン、WPSの開発』
    ボーランドソフトウェアコーポレーション
    プリンシパルエンジニア ジョン・カスター

会社全体のALMへの傾倒を受けて、開発系でもALMに関連する内容が半分を占めていたようだ。先日、DelphiのiOS対応のデモを披露していた新井君は、このときすでに米国本社所属になっていて、製品国際化担当マネージャーという肩書でボーランド製品全般のローカライズを担当していた。彼もやがて開発ツール部門へと移ることになるのだが、それについてはまた後日。

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技術セッションの内容を見てみると、この当時、「すべてのWindowsアプリケーションは.NETになる」というように言われ、.NET化が急務といった感があったと思う。特に、.NET Compact Frameworkのように、.NETによってモバイル系がすべてカバーできるという将来像は、現在のそれとは大きく異なっている。技術トレンドの変化は激しいものだと思うとともに、そのような激しい変化の中でも、開発資産をしっかり新しい技術に適合させていけるような芯の通った技術戦略というものが不足していたと感じる。

現在のマルチプラットフォーム戦略は、そのときどきのトレンドを追いかけてお手軽にキャッチアップしているものとは違う。実装には少し時間がかかるかもしれないけれど、将来にわたって使える技術を作ろうという努力をしている点が、当時とはかなり違うと感じるところだ。

すべてのセッションが終わると、フロアを変えて懇親会へと移った。こちらの参加数も、マーケティングの事後レポートによると110名と盛況だった。

マーケティングの植村さんは、「分離なんて発表しておいて、イベントでのメッセージなんて考えられないから、そっちでやって!」なんて突き放した言い方をしていたけれど、さすがベテランで、ツボは心得ていた。懇親会では、「開発ツールトリビア」など、レアものの賞品が当たるクイズなどの企画を考えて盛り上げてくれた。

参加者が大いに盛り上がってくれたことで、自分もデビッドも、これからのことを率直に切り出すことができた。

「今回のことでは、ほんとうにご心配をおかけしています。でも、私たちは、開発者ツールビジネスに回帰して『開発者のために』をもう一度真摯に考え、本当に開発者のためになすべきことをしていきたいと思っています。私たち自身も開発者ですから」

そして、4月になり、新しい組織が決定する。

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