今度のイベントはバーチャルで - 講師心得編
バーチャル形式でのセミナーでは、プレゼンする講師側でも、ライブとは違ったテクニックが要求されます。過去に何回かWebセミナーを経験してきて、講師側の経験、裏方スタッフとしての経験、聴講者側の経験を総合して、いくつかまとめてみたいと思います。
これらは、バーチャルという形式に起因するところが大きいのですが、若干心理的なものもあります。
アニメーションいっぱいはよろしくない
まず、プレゼンテーションですが、凝りに凝ったアニメーションは、効果的ではありません。というのも、ネット経由でプレゼン映像が配信されるので、実際期待したほどの効果はありません。むしろ、画面の書き換えが頻発して、動作がぎこちなくなったり、一部の画像が消し残しになったりといったトラブルがありえます。
Webセミナーのたぐいの画面リフレッシュは、基本的に変更のあった領域のみに行われるように最適化されています。そのため、画面全体がかっこよくズームしたり、ぐるぐるっと3回転してポン、といったような派手なアクションは、ほとんど画面リフレッシュに追いつくことができず、中途半端に終わります。スライドインやワイプも、オブジェクトのサイズが大きければ同じことです。
スライドの枚数もあまり多すぎず
同じような理由から、スライドをめくる操作に対する負荷は大きいと理解しておくべきです。例えば、終了時間が近づいて「巻き」状態になったとき、「じゃ、これは省略」といって飛ばしたり、ちょっとだけ見せて終わり、という操作がシステム的には大きな負荷となります。そのため、肝心の飛ばした結果のスライドになかなか行き着かなかったり、いくつかのページが飛んでしまう結果になりかねません。
このような事態にならないためには、スライドの枚数をちゃんとしぼっておくべきです。そもそもライブセッションでも、1枚あたり40秒ぐらいで進めないと終わらないような膨大なプレゼンを作ってくるケースがありますが、1枚2分ぐらいが「最短」と考えて枚数を調整しましょう。
デモの操作はゆっくり
Webセミナーの醍醐味は、聴講者が自分のデスクトップ上でデモ画面をフルサイズで見ることができることでしょう。これを堪能してもらうには、講師サイドにも注意が必要です。
基本的に画面リフレッシュの仕掛けを理解していれば、操作上注意すべきところは自明です。画面が大きく書き換わるところでは、当然転送に時間がかかりますから、ちょっと一呼吸おきましょう。そのとき、うっかりマウスをせわしなく動かしていたりすると、そこも再描画されてしまいますから、なにもせずにじっとしていましょう。でも、だまっちゃうと放送事故に思われちゃいますから、何かしゃべりましょう。
スクロールバーの落とし穴
あまり大きな画面操作ではないけれど、意外にも負荷が大きいのがスクロールバーです。スクロールバーを少しずつ操作していくと、スクロール領域が僅かながらでも再描画を繰り返します。この結果、肝心の目的地に行き着いたときに、再描画が追いついていないということがあります。スクロールバーを操作するときは、ちまちま動かすのではなく、大胆に動かして、目的地に到達したら、一呼吸おきましょう。
ところで、実際の操作がどのようにリモートで見えているのかを確認するのに、PCをもう一台用意してモニターするという手があります。ただ、このとき配信されてくる音声を聞いてしまうと、恐ろしいことに「しゃべれなくなります」。人間は、自分の声を聞いて発生を微調整しているようで、ネット経由でディレイした音声を聞きながらしゃべろうとすると、とてつもなくおかしなことになってしまいます(体験済)。
難しすぎず、複雑すぎず
このような配信上の負荷を抱えるWebセミナーの場合、あまりにも複雑なことをやると、なにをデモしているのか分からなくなってしまうことがあります。また、聴講者は、暗い会場でスクリーンを注視しているのではなく、おそらく何か別のこともしながらデモを見ています。そのため、この一瞬を見逃したらもう分からない、という構成を避けるような配慮も必要です。
実はこれも、ライブセッションであったとしても気をつけるべきポイント。バーチャルだから影響が大きくなりますが、常に心がけておくべきでしょう。
プレゼンはリアクションによって生きてくると痛感します
さて、最後に。バーチャルでもっともやりにくいのは、聴衆が目の前にいないことです。なくなって初めてその重要性に気づくことは多いですが、これもそのひとつ。実際、よいプレゼンは、聴衆の反応によって作られていくものなのです。それが「聴衆なし」の状況で痛感します。
今回のデベロッパーキャンプでは、ライブ会場も用意して「聴衆あり」の状態で、バーチャル配信できるようにしていますが、リモートで参加する講師の場合はやはり「聴衆なし」。講師サイドの経験からすると、ライブよりテンションが低いのは当然なので、その辺織り込んで、スロー気味に始めると、いいペース配分になるようです。
ちなみにそのライブ会場ですが、定員は30名程度。ちょっと小さめなので抽選とさせていただいております。申込は明日まで(バーチャル参加は当日までOK)。あ、最後は宣伝になってしまいましたね。