どうする?グローバル広告キャンペーン
外資系でそれなりにマーケティングをやっていると、ときおり「グローバル広告キャンペーン」なるものが持ち上がってきます。大企業であれば、それなりにスキームも確立していて、本当に各国で共通のメッセージを流していたり、エッセンスのみをシェアして、ローカルにうまく展開していたりと、それなりの効果を見て取れます。
しかし、そこそこの規模の会社の場合、それほど潤沢なマーケティング予算を持っているわけでもなく、本社にも多言語/異文化に対するノウハウを持ったスタッフがいない場合が多いので、なかなか苦労します。そのため、「グローバル」と聞いただけでギクッとなったり、「お金だけくれればうまいことやるから、ほっといてくれ!」なんて、過剰反応に走るケースもしばしばです。
そもそも、どうして、身の丈に合わないグローバルキャンペーンがあちこちで起こるのでしょう。いくつか理由を考えてみました。
① 会社が成長曲線に乗っている
非常にポジティブな理由ですが、売り上げや規模も拡大し、いよいよ自分たちもグローバルブランディングに乗り出すべきだという判断が働いた場合です。残念ながら、会社の規模の拡大に対して、スタッフのスキルが追いついていないことが多いので、ちぐはくな結果になりがちです。でも、成長をさらに加速させるためにがんばりましょう。
② 新任の担当者がでかいことをやろうとしている
マーケティング経験豊富な新任の担当者が、以前やっていたようなグローバルキャンペーンを推進しようと企画をぶちあげます。新任なので、実際あんまりローカルの事情は分からないので、結構勉強しながら軌道修正となります。勉強しない人だと大変です。
③ とにかくグローバルマーケティングがはやりである
そうなのです。ワールドワイドで共通メッセージというのは、今のアメリカのマーケティングの常識なのだそうで、どの会社もWebページ翻訳をかけたような多国語サイトを展開しています。広告だってかくあるべきなのです。うーん。
④ グローバルに乗らないと広告展開できない国をカバーする
あんまりネガティブになってはいけません。実は、日本のようにそこそこマーケティング予算を確保できる国は、独自の広告展開もできるのですが、それよりも規模の小さい国だと、広告展開もままならない場合があります。こういった国々にとって、グローバル広告の展開は、ありがたいわけです。
しかし実際には、広告には言語、マーケット、文化、製品、企業規模、購買行動の違いなどが大きく影響するもので、同じグラフィックで文字だけ差し替えて、なんてやっても、決して効果的ではありません。これらを加味して、グローバル展開するには、相当のノウハウとコストがかかります。
グローバル広告キャンペーンをやると決めたからには、それなりの理由があるはずなので、いきなり拒否反応を示すのではなく、より効果的にやるためのお手伝いをするというスタンスで、よくコミュニケーションをとってみることが大事なようです。
昔の資料をひっくり返したら古い広告が出てきました。何の文脈もなくいきなり日経ビジネスで「SPEED」と言われてもなぁ、と嘆いても、時既に遅し。グローバル化の洗礼にうまく対応できなかった、苦い経験であります。
実はその昔、ボーランドのマーケティングで、グローバル広告キャンペーンを実施し、日経ビジネスなどに広告を掲載したことがあります。このときは、シンガポールの代理店がすべて仕切っていて、日本サイドは、色校の確認ぐらいしかできなかったと記憶しています。もったいなかったなぁ。