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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

ビデオ公開、これからのデモビデオの作り方

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昨日のエントリの追伸にも書きましたが、先週のイベントのビデオを公開しました。セミナーやイベントは、場所、時間の制約があるため、参加したい、と思っても参加できない方が多くいらっしゃいます。主催者側としても、せっかく開いたイベントの情報を再利用したいという思いがあります。そして、ビデオで公開してほしい、Webカンファレンスも開催してほしい、など、いろいろなリクエストをいただいており、試行錯誤を続けていました。

今回のビデオ公開にあたり、いくつかクリアしなければならなかった問題、逆にこれからもうまく展開できそうな点、それから改善点などの反省を踏まえた今後の方向性などを書いておこうと思います。いわゆる舞台裏の話ですけど、ひととおりの作業を全部内製でやって、うーん、これはこれから使えるな、という感触を持っています。

同時通訳の問題
今回は、本社からMichael Swindellを招いてセッションを 行いました。英語によるセッションなので、当然同時通訳を入れます。ビデオで事後公開する場合、この通訳をどうするかが第一の関門です。同時通訳は、 100%の精度ではないものの、その場で訳を提供することが主ですから、事後のビデオにそのまま同時通訳音声を入れるというのはNGになるケースが多いの です。今回は、あらかじめ事後のビデオ公開を前提に交渉をしまして、公開可の通訳者にお願いする、それから2次利用の費用を支払う、というオプションで了 解をもらいました。他の選択肢としては、同時通訳の音声を参考に、吹き替えを録音するとか、字幕を入れるとか。こっちのほうが、通訳関係費用はセーブでき ますが、事後加工のコストが結構かかるのと、公開まで時間がかかってしまうので、やめました。通訳費用が当初予算よりも多くなってしまった分は、 Michaelにエコノミーで来てもらうことで解決(半分冗談)です。

プレゼン映像の収録
スクリーンに投影されていた映像は、ビデオに収録してありました。これは一部しか使っていません。 PowerPointの部分は、BMPや後日キャプチャーした映像で差し替えています。動きのないプレゼンページはBMPを挿入、アニメーションがある部 分は、同じテンポで操作を再現してキャプチャー、といった具合です。それから、これは今後の改善点ですが、デモの部分も、キャプチャーしてしまったほう が、見栄えもよく、ファイルサイズも小さくなるようです。ただスクリーンの解像度をいくつに設定しておくかも、後々効いてきますので、この辺はちょっと実 験しておきたいと思います。次回以降は、デモの部分をビデオ公開するセッションについては、当日キャプチャーソフトを起動させてデモするように変えようと 考えています。ちなみに、このビデオは、編集のときにPCの横で早送りして見て、音声と映像をシンクロさせるポイントを見つけるのに役立ちました(ちょっ とアナログ的)。

音声収録
同時通訳の日本語音声と英語のオリジナル音声を別々に収録しておきましたが、日本語のほうにも小さくオリジナル音声 が入っていたので、とくにかぶせる必要もなく、日本語音声をそのまま使いました。音声については、まったく楽。VAIOに付属のソフトでMDから取り込み ましたが、無音部分に分割候補を入れる機能があり、プレゼン1ページごとに一呼吸入れる高橋君のセッションは、 自動できれいに分割されて取り込めました。これを、後述するソフトで映像や静止画に合わせるだけ。簡単に編集できました。ところで、日本語のデモの場合、 手元のマイクで音声を拾っているので、キーボードのタイプ音なんかも聞こえます。意外とこれがデモ映像と音声の微妙な間合いをシンクロさせるのに役立ちま した。もちろん、デモ映像に収録された音声をそのまま使ってもいいのですが、つなぎの部分とかをトリミングすることもあるので、音声トラックを分けておい た方が楽です。

ビデオ、いわゆる顔出し
米国のビデオカンファレンスなんかだと、顔は一切出てこないで、スクリーン映像のみです。でもスピーカーのしゃべって いる姿を見てみたいのが人の性(さが)です。今回は、会場スタッフにハンディカメラで最初だけ撮影してもらっていたので、ちょっとだけ使いました。これだ けで大分臨場感が出るものです。ズームして撮っているので、ちょっと手ぶれが気になりますんで、次回は、固定カメラでスピーカーを撮影しておこうと思いま す。あと、Q&Aのところも撮影しておいたほうが見てて退屈しないですね。

編集ソフト
キャプチャーと編集には、Camtasiaというソフトを使いました。音声、映像、画面のキャプチャーなど、いろんな素材を簡単に編集でき、2時間半あまりのビデオを1日で編集できました(生成とか試写の時間のほうが長かったりして、数日使ってしまいましたが)。

このソフトを使って感じたのは、製品デモなどは、担当者がお手軽に収録して公開する時代だな、ということです。もし、配信のインフラがすでにあるな ら、ささっと収録して即公開、ということができます。旬な製品もすぐに見てもらえます。ビデオ配信やキャプチャーは、別に目新しいものではないと思います が、配信のためにあれこれ準備して業者にお願いしたり、という時間やコストが大幅に節約できるところは魅力です。

一方、こうしたビデオを見る側に、どういう文脈のものなのか、ということをしっかり伝えて、その期待値に対する妥当なクオリティを提供することも重 要だと思いました。伝えたいものが臨場感なのか、旬な製品なのか、詳細な技術情報なのか、そういった目的に沿って、力を入れるべきところを変えていくのが 望ましいと考えます。

ところで、収録が簡単にできるからといって、実際に足を運んでもらうイベントやセミナーはなくていいか、というとそうでもないと思います。相手がい るから、話にも力が入って面白くなる。それをネットでも聞きたい、ということもあります。一方、とにかく旬な情報を文字づらだけでなく、動くもので見た い、しゃべりなんてどうでもいい、というケースもあります。しゃべる側としては、適当な文脈を与えられて聴衆を用意してもらわないと、夜の静かなオフィス でひとりぼそぼそ、なんてことになって、暗ーいビデオのいっちょあがりになってしまうかもしれません。画面と音声はばらばらにして、後でペタペタできます から、編集がちょっと大変かもしれませんが、自由にやってもらって後でいいとこどりするのも手です。そういう意味では、よい素材をアレンジして分かりやす く伝える、まさにマーケティングのお仕事ですな。

技術的には、十分環境が整っていますから、あとは、これをどう活かすか、という状況です。

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