オルタナティブ・ブログ > Allegro Barbaro >

開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

開発者にとってのWindows Vista対応

»

いよいよWindows Vistaが発売されました。「マウスのスクロールを動かすとウィンドウが3Dでくるくるまわり、目的のウィンドウをすばやく検索できるという」なんて いった一般報道の説明には笑ってしまいましたが、パソコンに疎い一般的な反応はそんな感じなのでしょう。

Vistaをいち早く体感してみたい人々とは異なり、世の中の動向をしっかり見定めつつも、早急にしかるべき手を打たなくてはならないのが、開発者 です。彼らのお客様から、「Windows Vista対応」について回答を求められるからです。開発者がWindows Vista対応について考える文脈は、大きく分けて2つ、能動的な対応と受動的な対応があります。

新しいOSを推進するベンダーからしてみれば、すべての開発者が能動的に新機能を利用し、新OSの価値を実感できるソフトウェアを広く流通させたい わけで、Windows Vista対応とは、すなわち能動的対応のことである、と言いたいのは理解できます。しかし、現実には、「導入している環境に新たにWindows Vistaも加わる予定だ」とか、「XPで当面行く予定なんだけど、お客さんからVistaでも動くの、と聞かれちゃって」なんていう、積極的に新機能を 使うのではない、いわゆるサポートOSの幅を広げるための対応が多数あります。

残念ながら、こうした需要に対して、われわれ開発ツールベンダーとしては、OSが提供する互換性の範囲で、としか答えることができず、実質的に、ひ とつひとつ調べるしかない、という解決策しか示せません。それは、現在提供しているテクノロジーが決してOSとの分離性が高いわけではなく、やろうと思え ばOS依存のコードを記述できるので、書き方次第になってしまう、ということにも起因しています。このことは、ソフトウェア開発の自由度と拡張性を得るた めの代償のようなものなので、実際注意するしかない範疇です。従って、新OSへの対応の可否は、追加の検証という作業としてのしかかってきます。

かなり前のエントリ「ベンダーの都合でゆらぐメンテナンス性」 で書きましたが、現在のソフトウェアのメンテナンスという視点からすれば、技術革新は抗すべきベクトルで、新OSの機能を利用して新しい付加価値を提供し ようという、新規開拓のベクトルとは相反するものです。しかし、ソフトウェア開発者にとっては、この両方が重要な課題として突きつけられるので、 「Windows Vista発売」というニュースも、単純なお祭り気分にはなりにくい心境があるんだろうと思います。

補足:
CodeGearでは、こうした需要に対して、いつまでも上記のような解決策だけ、というわけにもいかないので、ツールとしての Vista OSへの対応を順次進める計画でいます。順次、というのは、能動的対応と受動的対応の両方を見越しての段階的な措置で、現在公表しているロードマップを修 正して対応します。2月以降、具体的な発表をする予定ですので、しばらくお待ちください。

Comment(3)