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ベーム最晩年のベートヴェン交響曲第7番

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のだめ効果でベートーヴェンの交響曲第7番の人気が急上昇なのだそうだ。第一楽章の着うたは、クラシック部門で3週連続1位をキープしている。

先日、のだめオーケストラの若々しいベト7とはうってかわって、いぶし銀のベト7のDVDを購入してみた。カール・ベーム晩年の1980年、ウィーン・フィルとの来日公演を収録したものだ。なぜ、このDVDなのかというと、この演奏の翌年に彼は没しており、ベーム最後のウィーン・フィルの演奏となった歴史的な録画であること、そして、何より、執念のような彼の最晩年の練習風景の特典映像がついているからだ。

実は、当オケの常任指揮者である金子建志氏が、このDVDの試聴版を見て、「とにかくこの特典映像が面白い」と教えてくれたので、早速購入したというわけだ。金子氏によれば、1楽章のヴィヴァーチェは1つ振り(!)で、震えるタクトを指して、「ちゃんと棒を見て!」と指示するベームに、必死に合わせようと試行錯誤する団員、という図がとてつもなくおかしいとのこと。しかし、どうして。実際練習風景を見てみると、確かに1つ振りなんだけど、巨匠のオーラというか、指示の一言一言が重くて、若い団員は震え上がっちゃいますね。

「あと何がしたいんですか?」と聞くベームに、若いホルン奏者から、「ヴィヴァーチェをもう一度お願いします」という声があがる。やはり不安なのだろう。出だしをもう一度練習し、厳しい指摘をしたあとでベームがこうコメントする。「もう私はあなた方に全信頼を寄せていますよ。神経質にならないで大丈夫ですから。」すると、メンバーから拍手が沸き起こる。感動的な瞬間だ。お薦めの一品。

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