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オーケストレーション考

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その後ドビュッシーはあんまり練習していないので、ちょっと脱線してオーケストレーションについて書いてみたいと思います。近代管弦楽がとてつもなく色彩豊かになったのは、大胆な和声法もさることながら、オーケストレーションの進化を忘れることはできません。

オーケストレーション(管弦楽法)を簡単に言ってしまうと、オーケストラ向けに楽曲を編曲することです。例えば、交響曲のスケッチがピアノ譜であったとすると、これをオーケストラ譜にすることがオーケストレーションにあたります。このとき、ただ楽器を割り当てるというのではなく、さまざまな技法を駆使します。オーケストレーションでは、音楽性はもちろんですが、各楽器についての性能や特性の理解、複数の楽器を組み合わせたときの音色効果、奏法や演奏者心理の理解など、幅広い知識と経験が要求されます。

そういった意味で現場に近い作曲家、つまりは演奏家や指揮者には、オーケストレーションがうまい人がいます。ただ、名ピアニストがピアノ的な発想で、非常に演奏が困難なフレーズを弦楽器に要求したり、オルガン奏者がオルガン的な音楽でのっぺりしたりと、局所的に秀でているのはどうか、というケースもあります。とはいえ、これも個性。演奏側が意図をうまく汲み取って補正してうまくいく音楽もあるのです。

オーケストレーションがうまい作曲家の音楽は、それなりに鳴るものです。以前ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」をやったとき、最初の練習(そう、初見大会です!)で、変拍子や難しい奏法にみんな四苦八苦していましたが、指揮者いわく「なんかそれらしくつながっちゃうもんだね」みんな、目玉を ? ? にしながら、「ほんとにいいのか」と自問していましたが、いやいや、これこそストラヴィンスキー先生のマジックなんですって。

これは、日本のオーケストレーションバイブル 伊福部昭氏の「管弦楽法」上下2巻。内容は非常に詳細で、科学的な解説も含まれています。

このストラヴィンスキーの変幻自在なオーケストレーションの基礎を与えたのがリムスキー・コルサコフ。ロシア5人組のひとりで、「シェヘラザード」などが有名です。そういえば、日本では、「ゴジラ、ゴジラ、ゴジラとメカゴジラ」で有名な伊福部昭氏の「管弦楽法」がこの手のバイブルですが、彼もリムスキー・コルサコフ門下に仕込まれたんでしたね。

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