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開発ツールビジネスの再生に格闘。マーケティングの視点で解説

ユーザー参加型に望みをつなぐ驚異のアンケート回収率

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イベントやセミナーという活動は、特定の時間と場所に、特定のテーマで集まっていただくものなので、その効果は、理屈上限られたものになります。しかし、プライベートイベントやセミナーなどを開いて、お客様に直接、じっくりお話しを聞いていただくことは、やはり欠かすことのできない重要な活動ですし、二次的な効果も大いに期待できるものです。

5月25日に開催した第1回デベロッパーキャンプは、私がDevCo(ボーランドの開発ツール事業を引き継ぐ新会社の仮称)のマーケティングを担当するようになって、初めて実施したイベントです。DevCoとしてのマーケティング活動が可能になり、予算も人もついてスタートというわけです。

当初、このイベントは、Borland Developer Studio 2006の販促を兼ねた「Developer Studio 2006 World Tour」というワールドワイドツアーの一環として話しがありました。しかし私は、外タレの都合で急遽ユーザーを集めたり、販促のための情報提供だけのイベントというのは好きではありませんでしたから、なにかこれを機会にもっとユーザーの役に立つイベントのしかけが作れないものかと考え、一過性のイベントではなく「デベロッパーキャンプ」シリーズとして、3ヶ月に1回ぐらいユーザーの意見を取り入れながら開催していこうと大きく舵取りをしました。

ところで、最近の外資系は、ワールドワイドツアーのたぐいが好きみたいです。たしかに、同じコンテンツを世界中もちまわれば効率的だし、独自にイベントを開催できないような売り上げの小さい国も恩恵を得られます。しかし、市場も物価もユーザーの事情も違うので、もちまわりには限界があります。それに、だいたいツアーでまわる外タレは1、2名ぐらいですから、全部の専門化ということでもなく、本場のイベントにはかないません。

ぶっちゃけ話になってしまいますが、そもそもイベントを運営する側としては、外タレは扱いにくい存在です。まず、たいてい外国語で話しますから、同時通訳を手配しなければなりません。費用はもちろんですが、同通ブースの設置など、会場の制約も出てきます。それに、同時通訳の質は、専門的な内容になればなるほど、満足いただけるレベルにするのは困難になります。もちろん、事前ブリーフィングをして、用語のチェックをして、と準備しますが、プログラムを書いたことがない通訳者が、ノリノリでデモするエンジニアの同時通訳を完璧にこなすのは、土台無理なことです。また、これは文化の違いなのでしょうが、彼らには配布資料という概念がありません。配布資料のために、説得して事前にプレゼンを提出させますが、サービス精神旺盛な彼らは、本番直前まで直してます。このように扱いにくい彼らといえども、非常にホットな話題だったり、彼以外適任がいないというようなケースでは、絶対にしゃべってもらったほうがいいです。少しぐらい運営側が泣いても、価値あるコンテンツを提供できるからです。

今回は、オーストラリアからMalcolm Grovesが来日しました。彼は、「Delphi大好き」なエンジニアで、ユーザーと同じ目線というのが強みです。それにECOというモデルドリブン開発の新機能のエキスパートです。今回は、DevCoとしてのメッセージもさることながら、このECOにフォーカスをあてたセッションを担当してもらうことにしました。「日本のエンジニアで担当できる人がいるんじゃないの?」という彼の心配に「いや、なんといってもECOは君が一番だから」と答えて、やる気満々になってもらいました。

Malcolm 

結果のアンケートでは、彼のECOセッションがダントツでした。そうそう、今回はあまり時間がなかったので、「ユーザー参加型」にはまだ程遠い開催形態でした(何しろ「やれる」と決まったのが4月下旬ですから)。でも、とにかく第1回のフィードバックをお願いしたいとアンケートの記載を念押ししましたら、なんと(!)、97%のアンケート回収率を達成しました。皆さんありがとうございました(涙)。この数字は業者も驚くお化け数字です。皆さんの期待の大きさと責任の大きさをずっしりと感じている次第です。

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