開発者コミュニティサイトBDNの日本語化 その2
開発ツールの使い方は、奥が深く、ツール添付のドキュメントだけでは絶対に情報が不足します。ましてや、入門者、上級者、汎用機能、専門機能など、幅も深さも違うさまざまなカットの情報が要求されます。
こうした需要に対し、BDN(Borland Developer Network)が果たす役割は、計り知れません。私たちベンダーの立場で執筆する新機能の紹介や、開発の指針に関わる記事、あるいはQ&A、開発者自らのノウハウを共有する記事など、多くの人が関わって情報を集めていくことで、開発者コミュニティができあがっています。
ボーランドの開発ツールに関して、日本で決定的に欠けているものは、その「情報量」だといわれて久しいのですが、抜本的にインフラレベルから変革しようという試みは、このBDN日本語化が数年来(ひょっとするともっと)なのではないかと思います。とにかくDevCoの開発者フォーカスという考えを、この場で証明しなければなりません。
ところで、米国でBDNシステム国際化の船頭をしているのは、John Kasterで す。彼の下には、若い開発者が何名かいて、実際のコーディング作業は彼らがメインでやっているようです。国際化対応のインフラができた段階でJohnから 連絡があり、日本のUI用のリソースを準備してほしいと頼まれました。「どうやるの?」と聞くと、「これからStarTeamのアカウントを作るから、自 分でやってちょうだい」とのこと。StarTeamは、ボーランドの構成管理ツールですから、手元のマシンにはインストールされてます。アクセスしてみると、各国のリソース用にディレクトリが掘ってあって、JPというのもあります。なるほど、これを直せばいいのね、と、HTMLやらGIFやらをせっせと日本語化しました。
ひととおり作業が終わると、若いエンジニアのひとりLeo君がテスト環境に上げてくれます。「Leo君、Exception出てるけど」なんてやりとりをチャットしながら、修正を加え、1週間程度で使い物になるようにしました。
Leo君が中国やブラジルの対応をしている間に、こちらはコンテンツの準備にとりかかりました。とりあえず英語記事の翻訳や、旧記事の再掲載などか ら手をつけ、ちゃんと動作するかどうかを確認しました。実はここからは、本番環境のデータベースに記事をアップしていますから、一般公開された状態です。 たまに、Leo君の修正がミスって、特定の環境ではExceptionを吐いて表示しない、なんて事故も起こしていました。
1週間ほどで軌道にのり、ベータ版ですが公開します、とアナウンスできました。まずは、訪れてもらうことが第一と、1日1本は記事をアップするように執筆、翻訳、ネタ集めなどに奔走しています。
今回の集中作業は、とにかく最短で作業をするという意気込みでやりましたので、Leo君にもかなりがんばってもらいました。時差がありますので、こちらも早めに出社して、彼の午後の作業を日本向けに使ってもらいますが、日本の午後、つまりは深夜までかかることもしばしばでした。Johnが「Leoももう眠いだろうし」というと、「いやまだだいじょぶ」とLeo君はがんばってくれます。彼らが眠っている間にこちらも懸案を解決してコンテンツを準備しと、この件に関しては、少人数で24時間稼動してましたね。
余談ですが、当初、各国記事がみんな表示される仕様でした。Leo君とは、「このままだと混乱しちゃうよね」と話していたのですが、Johnにも考えがあるらしく、しばらくそのままになっていました。しかし、私が毎日記事をアップして、それが英語サイトにも表示されるものだから、早々に手を打つ必要がでてきまして、とりあえず日本語記事は、本家英語サイトには表示されないようになりました(表示言語の選択機能を現在実装中で、今日更新された機能として、BDNのアカウントを作成して、Language=Japaneseに設定しておくと、常に日本語情報が表示されるようになってます)。現状、日本語サイトでは、日本語記事と翻訳されてない英語記 事が表示されます。翻訳すると日本語に変わるというあたりは、かしこくできています。
さて、最後にBDN日本語版のコンテンツ計画ですが、現在次のように考えています。
- 英語記事の翻訳
現在英語ベースですが、投稿記事コンテストをやっています。おもしろい英語記事をピックアップして、どんどん翻訳していこうと思います。 - 日本語オリジナル記事の作成
高尚なテーマでなくてもよいので、ちょっとしたTipsやQ&Aなどを積み上げていきたいと思います。 - チュートリアル記事の作成
なんといっても入門者向け文書が少なくて困るという声をいただいており、ここにも注力していきたいと思います。 - セミナーやイベントでの講演をベースにした記事
デベロッパーキャンプのようなイベントを企画していますが、イベントに参加できなかった方に、単なるイベントレポート以上の内容を、記事としてお届けしたいと思います。すでに前回のイベントの2つのセッション(ECOの概要とデータベースアプリケーションの移行)について、執筆してみました。イベントで取り上げるテーマは、当然要望の多いものですから、再利用しない手はないと思っています。 - その他、タイアップ企画
これは、まだ企画準備段階なので、具体的にはお知らせできないのですが、我々だけで記事をおこしていっても限界があるので、いろいろな情報ソースのご支援をいただいて、DelphiやC++Builder、JBuilderなどのエッセンスを交えてご紹介できればと考えています。
BDNにはコメント機能があって、各記事に対して意見や質問を投げることができます。しかし、残念ながら(というより申し訳ないことに)この機能はまだ日本語に対応してません。本当は、ここにもっとこういう記事がほしいとか、これを日本語にしてほしい、とかフィードバックをいただいて、よりよい内容をお届けしたいと考えていたのですが、これを日本語でできるようになるのは、もう少し先になりそうです。ごめんなさい。
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