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2024年、AIはどこへ向かうのか

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2023年は生成AIに始まり、生成AIに暮れた年でした。2023年末にはさまざまなサービスが発表され、新世代の生成AIも発表されており、2024年は生成AIが本格的に普及する年になるでしょう。しかし、コンシューマ向けは少し遅れて、まずは企業向けが先行するのではないでしょうか。

ai_shigoto_makaseru.pngChatGPTが2022年末に公開された後、生成AIは急速に注目を集め、そして進化しました。中でもMicrosoftは先頭を切って自社製品・サービスにAIを組み込み、Azure OpenAIサービスやCopilotシリーズをリリースしました。最初は様子を見ていた各社も追随し、11月にはAmazonが企業向け生成AIサービスを開始、12月にはGoogleもGPT4を上回るとされるGeminiを発表するなど、2023年末にかけて各社で大きな動きがありました。

この勢いはもちろん2024年も続くと考えられ、それどころか進化はこれまで以上に加速すると考えられます。MicrosoftやAmazon、Googleなどの先進企業では生成AIの開発のために生成AIを使うようになっているため、AIはこれまでとは次元の違うスピードで進化しているのです。

学習データの著作権、プライバシー問題

しかし、各社が生成AIに振り切れない事情があります。今のAIには、咽に刺さったとげのように、著作権とプライバシーという問題が付きまとうからです。生成AIに限らず、AIは学習のための大量のデータが必要で、現在はそれをインターネットで集めています。これまでもこの問題は燻っていましたが、AIがこれだけ注目され、ビジネスが巨大化すると、無視できない問題となりました。

著作権や個人情報の保護に関する法律は各国でバラツキがあり、問題視する内容も違います。個人の権利に厳しいEUではデータのプライバシーが重要視され、アメリカでは著作権侵害に対して厳しい目が注がれます。昨年末にニューヨークタイムズがChatGPTを使うMicrosoftと開発元のOpenAIを提訴したのは、記事の著作権侵害についてでした。

2023年5月の広島サミットで「広島AIプロセス」が発表され、先進国間での協議が続いてきましたが、11月には国際指針が示されました。EUも内容を評価していることから、今後は各国間での調整が進み、法案が作成されると考えられます。著作権やプライバシーの重要性は変わりませんが、AIの進化を止めるわけにもいかないという判断でしょう。

さらにベンダー側は、規制に先んじていろいろな対策を打っています。GoogleのGeminiは、開発段階から安全性の評価を行い、リスクの低減に取り組んでいるということで、先進的なベンダーは各国の規制を先取りしてAIの開発を進めていく考えのようです。

今年のAIは、コンシューマよりも企業向けが先行

こういった流れを考えると、2024年はまず企業向けAIの普及が先行するのではないでしょうか。画像や音楽を生成するAIは著作権問題が複雑にからみますが、テキストを主体とした企業向けの生成AIは、学習データを制限することで著作権やプライバシーの問題が出にくいと考えられ、業務におけるメリットも大きいことから課金もしやすいと考えられます。著作権への懸念や訴訟リスクを抱えながらもMicrosoftやAmazonがこの分野に参入したのは、ある程度の訴訟リスクを覚悟してでもビジネスメリットが大きいと判断したためではないでしょうか。

企業向けAIというのは、パナソニックコネクト三井住友海上が導入したような、企業内のデータを学習させて企業内だけで使用するような形態の生成AIの活用法です。個々の企業専用のAIと言っても良いでしょう。学習させるデータが企業の所有するもので、学習結果を外部に出さないという構造の下で社内のみで使う限り、著作権やプライバシーの問題は発生しにくいと考えられます。ベースとなるGPTの学習にはネットのデータが使われているため、その部分はリスクとなります(実際にニューヨークタイムスに訴えられています)が、今後Googleのように「クリーン」な学習データを使うようになっていくのでしょう。Microsoftが積極的に展開しているCopilotもこの範疇に入ると考えられますが、この点については別途書くことにします。

一方で、人々の生活に大きな影響を与えるコンシューマ向けの生成AIは、著作権・プライバシー問題が法的にも社会的にも決着してからの普及になると思われます。そしてどのようなサービスに適用し、どのように収益を得るかのビジネスモデルが重要になるでしょう。可能性としては、AIエージェントやオペレーティングエージェントなどと呼ばれる分野が注目されています。いずれにせよ、2024年はAIから目が離せない、というよりは、否応なく巻き込まれる年になりそうです。

 

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