使うべきか使わざるべきか ~真っ二つに分かれる生成系AIへの対応
ChatGPTを含む生成系AIを巡る動きはもはや社会現象と言って良いほどになっていて、ニュースでその言葉を見ない日はありません。
大絶賛の声がある一方で、新しいテクノロジーが出てきたときにありがちですが、「言うほどたいしたこと無い」「間違いが目立つ」といった否定的な意見や、「プライバシーはどうなるのか」「人間の仕事を奪うのでは」といったAI脅威論なども目立ちます。
ニューヨーク市では早々に教育関係者のChatGPTの利用を禁止したり、最近ではイタリア政府がGDPR違反の調査を開始するなど、海外でも慎重論があるようです。
そのような中、積極的に利用していこうという企業ももちろんあります。パナソニックが国内の全社員への提供を発表しました。
提供するのはGPTそのものではなく、GPTをベースに開発したPX-GPTということですが、これは実は子会社のパナソニックコネクトが開発したConnectGPTが元になっています。
ConnectGPTはGPT-3.5をベースにカスタマイズしたものということで、2月からパナソニックコネクトの社内で利用されています。
MicrosoftのGPT-3.5およびChatGPT法人向けサービスをベースに開発されており、自動翻訳機能を搭載するほか、入力した情報は2次利用せず一定期間を過ぎたら消去するなど、セキュリティ面にも配慮しているという。
今回、それをパナソニックグループ全体で使うと言うことで、「PX-GPTの利用に当たっては、社内情報や企業秘密、個人情報などを入力しないといった利用ルールを整備した。」と、一定の制限やルールを設けて提供することになったということです。
パナソニックコネクトが社内向けAIのプトジェクトを開始したのはChatGPTが公開される前の2022年10月ということです。
つまり、ChatGPTの騒ぎの前に、この技術に目を付けていたということですね。その先見性に驚かされますが、パナソニックコネクトの社長は元Microsoft社長の樋口さん、CTOも元Microsoftの榊原さんです。トップにITリテラシーの高い人がいればこその初動の速さ、と言えるのではないでしょうか。
ファーストペンギンになれるかなれないか
もちろん、よくわからないうちに勇み足で踏み出してしまって、大失敗することもあるわけですが、逆にそれがうまくいって他社に差を付けることもできる可能性もあるわけです。このように、リスクをとる先駆者のことを「ファーストペンギン」と呼びます。
「ファーストペンギン」とは、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛びこむ1羽のペンギンのこと。転じて、その"勇敢なペンギン"のように、リスクを恐れず初めてのことに挑戦するベンチャー精神の持ち主を、米国では敬意を込めて「ファーストペンギン」と呼びます。
ファーストペンギンにはリスクがあるだけではなく、誰もいない海には豊富な餌が待っているのです。ハイリスク・ハイリターンということですね。
生成系AIの進化は、数十年に1度、あるかないかの大きなイノベーションです。このイノベーションに乗り遅れた場合、数年先にどれだけの差が付いているか、想像も付きません。最低限のリスクヘッジは必要ですが、この変革(裏返せばチャンス)にどのように対応するのかで、数年先、あるいは数十年先の到達点が全く変わってくるのでしょう。
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