ガートナーが2022年のハイプサイクルを発表
毎年動向を追っているガートナーの「Hyper Cycle for Emerging Technology(先進テクノロジのハイプサイクル)」ですが、今年も最新版が公開されました。
ガートナーのハイプサイクルは本来、テクノロジーを「黎明期-過度な期待のピーク期-幻滅期-啓発期-生産性の安定期」の5つの段階に分けてプロットし、各々のテクノロジーがどの段階にあるのかをわかりやすく表示するものですが、この先進テクノロジに関しては、昨年から啓発期以降が空白になっており、今年は幻滅期以降が空白になっています。「先進テクノロジ」だから、幻滅期以降は書かなくても良いということなのかも知れません。
さて、今年のハイプサイクルの特徴については、ガートナー自身が主要なテーマとして以下の3つを挙げています。
- 没入型体験の進化/拡大
- 人工知能の自動化の加速
- 技術者提供の最適化
順番に見ていきましょう。
没入型体験の進化/拡大
NFTがもう幻滅期に入りかけているのに、メタバースがまだ黎明期の真ん中くらいにいるのはちょっと解せませんが、今年一番のキーワードはメタバースでしょう。しかし、まだその全貌は見えていないと言うことで、まだ黎明期の真ん中なのかも知れません。
没入型体験というと、どうしてもVR/ARを使ったメタバース的なものを想像してしまいますが、ガートナーではこのテーマにDigital twin of the customer (顧客のデジタルツイン)というテクノロジーも入れて来ています。顧客行動をシミュレートして学習し、顧客行動をエミュレートして予測するということで、顧客体験(CX)を修正して強化し、新しいデジタル化の取り組み、製品やサービスをサポートするために使用できるということです。Digital Humanも同じ目的でしょう。
Internal talent marketplaceというのも興味深いです。人事部門の関与無しに、社内人材をさまざまな仕事にマッチングさせるというもので、社員のリスキリングなどにも活用できそうです。
人工知能の自動化の加速
今年も相変わらずAIは中核的なテーマです。Machine learning code generation(機械学習によるコード生成)は、このブログでも何回か取り上げましたが、現在急速に進化している分野です。ただ、学習用のデータの権利などの問題は今後解決していく必要があるでしょう。
技術者提供の最適化
IT業界においては慢性的な人手不足が続いており、特に今後、AIやデータサイエンスなどの先進的な分野での人材確保が重要になるとされています。人材確保も重要ですが、既存の人材の有効活用も積極的に進めていかなければなりません。
幻滅期に入りかけていますが、Cloud data ecosystemがその例として挙げられています。これは探索的データ サイエンスから本番のデータウェアハウジングまで、あらゆるデータワークロードを適切にサポートするデータ管理環境で、適材を適所に、適時に配置することができます。個人的には、Internal talent marketplaceもこちらのテーマで良いのでは無いかと感じます。
今回、ガートナーが人材確保・有効活用のためのテクノロジーをひとつのテーマとしてまとめたのは、人材がIT業界の主要な関心事になっているという背景があるのでしょう。リスキリングなどの動きも急ですが、学び続けるという姿勢の大切さが今後益々注目されるのではないでしょうか。
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