ガートナーが2021年のハイプサイクルを発表
毎年夏のお楽しみです。米調査会社のGartnerが、2021年版の「先進テクノロジのハイプ・サイクル」を発表しました。
このブログでも毎年(ここ数年は取り上げていなかったかも)取り上げていますが、今年のハイプサイクルはいつもとちょっと違います。「幻滅期」から右がまったくの空白なのです。
去年はまだ、右の方にもちらほらとあったのですのが、今年はまったくありません。なんか、潔いですね。まあ、先進テクノロジですから、「今後を見通す」という意味では、これで良いのかも知れません。リリースにあるように、
「先進テクノロジのハイプ・サイクル」は数あるハイプ・サイクルの中でも独特のものです。1,500を超えるテクノロジを分析した上で知見を引き出し、今後5~10年にわたって高度な競争優位性をもたらす可能性が高い、押さえておくべき先進的なテクノロジおよびトレンドを簡潔にまとめたもの
だからなのでしょうね。
ハイプ・サイクルは、Gartnerが毎年発表しているもので、さまざまな新技術が「注目を集め」「社会の関心が高まり」「期待したほどのものでも無いことが判明するが」「それでも有用なものだけが残り」「社会に貢献する」ようになるという流れを1枚のグラフにプロットしたものです。
ハイプサイクルというと、今回の「先進テクノロジ」ばかりが注目されますが、他にも「xxのハイプ・サイクル」といった形で、さまざまなテクノロジー分野毎のハイプサイクルが作られており、それらには啓発期/生産性の安定期も示されています。こういった分野では「今、やっと使えるようになった/活躍中のテクノロジ」が何なのかを示すことも必要なのでしょう。
ブロックチェーン関連技術がピークに
さて、今年のハイプサイクルで「過度な期待のピーク期」にあるのが、非代替性トークンです。「NFT」といったほうがわかりやすいかも知れません。折しも、今日楽天がこんな発表をしていました。
NFTはブロックチェーンを基盤とした技術で、今最も注目されています。仮想通貨と同じ技術だからというわけでもないでしょうが、早くも過熱が心配される事態になっています。
もうひとつの「分散型アイデンティティ」(DDID)もブロックチェーン関連の技術です。これらが過度な期待のピークに上がってきたことで、ブロックチェーン技術の有用性が徐々に証明されようとしています。
黎明期に目を向けると、ここにも「分散型金融」というのがあります。これについては詳しくありませんが、基盤はブロックチェーンだったと思います。
AIもまだまだ元気
あとは、やはりAI関連が目に付きます。当面業界はディープニューラルネットワークで進むでしょうが、他の技術の研究もどんどん進んでいると言うことでしょう。左下に「量子ML」とありますが、これは恐らくMachine Learningのことでしょうから、量子コンピュータでの機械学習の話でしょう。こういった技術もそろそろ視野に入ってきた、ということでしょう。
ちょっと面白いのが、「準同形型暗号」です。この技術はだいぶ前からあり、広く使われているRSAなども準同形性をもつとされています。調べてみると、「完全順同型」というのもあるんですね。いずれにせよ、暗号化されたデータをいちいち復号化せずに処理することで、データの安全性を高めることができる技術です。
しかし、これとても10年以上前の新技術です。昔からある技術が何故今になって黎明期に入ってきたのか、Gartnerの発表だけではわかりませんが、ひょっとするとブロックチェーンと絡んでいるのかもしれません。次の暗号技術は量子暗号なのかと思っていましたが、こういった技術も見直されているのですね。
【募集開始】次期・ITソリューション塾・第38期(10月6日〜)
次期・ITソリューション塾・第38期(10月6日 開講)の募集を始めました。
ITソリューション塾は、ITのトレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、そんなITに関わるカルチャーが、いまどのように変わろうとしているのか、そして、ビジネスとの関係が、どう変わるのか、それにどう向きあえばいいのかを、考えるきっかけになるはずです。
また、何よりも大切だと考えているのでは、「本質」です。なぜ、このような変化が起きているのか、なぜ、このような取り組みが必要かの理由についても深く掘り下げます。それが理解できれば、実践は、自律的に進むでしょう。
- IT企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
そんな皆さんには、きっとお役に立つはずです。
特別講師の皆さん:
実務・実践のノウハウを活き活きとお伝えするために、現場の最前線で活躍する方に、講師をお願いしています。
戸田孝一郎氏/お客様のDXの実践の支援やSI事業者のDX実践のプロフェッショナルを育成する戦略スタッフサービスの代表
吉田雄哉氏/日本マイクロソフトで、お客様のDXの実践を支援するテクノロジーセンター長
河野省二氏/日本マイクロソフトで、セキュリティの次世代化をリードするCSO(チーフ・セキュリティ・オフィサー)
最終日の特別補講の講師についても、これからのITあるいはDXの実践者に、お話し頂く予定です。
- 日程 :初回2021年10月6日(水)~最終回12月15日(水) 毎週18:30~20:30
- 回数 :全10回+特別補講
- 定員 :120名
- 会場 :オンライン(ライブと録画)
- 料金 :¥90,000- (税込み¥99,000) 全期間の参加費と資料・教材を含む
詳細なスケジュールは、こちらに掲載しております。