出そろったGAFAMの四半期決算 ~新型コロナの影響は?
新型コロナ騒ぎの中ですが、4月末にGAFAMの2020年1-3月期の業績発表がありました。各社とも概ね業績は良かったようですが、その中でも明暗があるように思います。
一番良かったのはMicrosoftのようですね。こんな記事が出ていました。
1-3月期としては過去最高だそうです。「コロナ特需」ということもあるのかも知れませんが、それだけでは無いでしょう。在宅勤務でPCの需要が伸びたということですが、製造側が追いつかずに品薄になっているなど、プラスばかりではありません。全体としては、ここ数年クラウドシフトを進め、ビジネス構造を変えてサービスビジネスに移行させてきた結果が出たということだと思います。
コロナの影響としては、企業がリモートワークへ動いたことでコラボレーションツールの「Teams」のアクティブユーザーが急増し、3月に3,200万人だったのが4月には7,500万人を突破したということです。
ただ、これが業績にどれくらい貢献したのかはわかりません。Office365にくっついていたけど、使っていなかった、というユーザーも多いのではないでしょうか。ちなみに、Zoomは2月の1,700万人から4月には3億人に増えたということですから、伸びとしてはこちらのほうが凄いですね。
それにしても、これだけ短期間でこれだけ需要が増えたのに対応できているというのも凄いことです。クラウドのおかげということなのでしょう。
Amazonも増収減益
クラウドのもう一方の雄であるAmazonは、増収・減益だったようです。こちらも売上は2桁増。
外出規制で通販は絶好調の筈ですが、コロナ対策で費用が嵩んだと説明しています。ただ、前にも書きましたが、
Amazonは「赤字でいたい」企業なのです。そういう意味では、きっと中身は絶好調なのだろうと思います。
Google、Facebookは予想を上回る増収
Googleの親会社であるAlphabetも、2桁の増収でした。
しかし、記事にあるように3月には広告が落ち込み始めており、この傾向は今後も続くでしょうから、4-6月期はちょっと厳しいかも知れませんね。Facebookも2桁増収です。
みんな家にいるんで、アクティブユーザー数は増えているんでしょうが、Facebookも収益源はGoogleと同じく広告ですから、影響は小さくないでしょう。
Appleも増収だが。。
Appleも増収でしたが、売上高は前年同期比1%増と、ギリギリです。なんとか頑張ってプラスにした、という感じ。
業績予想の提示も見送ったということで、今後の業績への懸念が高まっています。Appleの主力事業はiPhoneというハードウェアの販売であり、なんといってもサプライチェーンが痛んでいますから、今後も新型コロナの影響は大きそうです。実際SE2の発売もずれ込みましたし、iPhone12も遅れるのでは、と言われています。
ビジネスモデルの違いが業績に
GAFAMといっても、ビジネスモデルは様々です。Amazonは通販、Google/Facebookは広告、Appleはハードウェア、Microsoftはソフトウェアが柱です。今回の業績発表からは、GAFAMという括りで各社を一律に並べてみることはできないということがわかります。
AppleやMicrosoftは、古き良き(笑)昔ながらのIT企業ということになるのかも知れません。しかし、昔ながらのIT企業の中ではAppleもそうですが、IBMも苦戦しており、Oracleは決算期が少しずれているのですが、コロナの影響は今後大きく響いてきそうです。その中で、Microsoftが好調を維持できたのは、ここ数年取り組んで来た構造改革の成果なのではないかと思います。
AWSが正式にサービスを開始したのが2004年、Googleがその後を追ったのが2008年です。IBMやMicrosoftなどは、最初はクラウドには懐疑的(オンプレミスのビジネスと食い合うという懸念もあったのでしょうが)でしたが、Microsoftはクラウドへの流れを感じ取るや、いち早くクラウドに取り組んできました。(2008年末にAzureを発表、提供を開始したのが2010年)その後、ナデラ氏がCEOになってからは主力のWindowsを無償化し、Officeをサブスク化するなど、ソフトウェアの販売からサービスの提供へ事業を転換してきました。この取り組みは、今にして思えばデジタルトランスフォーメーションそのものだったと言えるのではないでしょうか。
DXの目的は、「どんな環境変化にも堪えうる会社」を作ることではなく、「環境の変化に迅速に対応できる会社」を作ることです。そういった発想の転換も、求められているのでしょう。
「?」をそのままにしておかないために
時代の変化は速く、特にITの分野での技術革新、環境変化は激しく、時代のトレンドに取り残されることは企業にとって大きなリスクとなります。しかし、一歩引いて様々な技術革新を見ていくと、「まったく未知の技術」など、そうそうありません。ほとんどの技術は過去の技術の延長線上にあり、異分野の技術と組み合わせることで新しい技術となっていることが多いのです。
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